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企業アカウントが伸びないのはなぜ?広告に頼らずXで成果を出す新常識

「広告が使えなくなってから、企業アカウントのフォロワーが全然増えなくなった…」

そんな相談を受けることが、ここ最近一気に増えてきました。確かに、X(旧Twitter)では2023年後半から広告配信の制限が進み、フォロワー獲得の環境は大きく変わりました。特に企業アカウントにとって、広告頼みの運用では通用しなくなった現実があります。

では、今の時代に合った「企業としてのX運用戦略」とは何か?
この記事では、広告に頼らずともフォロワーを伸ばせる運用戦略を、実務で取り組める視点から徹底解説します。

なぜ今、企業アカウントはXで伸び悩むのか?

かつては「X広告を出せばフォロワーは増える」という時代でした。ところが2023年以降、Xの方針転換により、企業アカウントの運用は難易度が一気に上昇しています。

1. 広告配信機能の停止・制限

イーロン・マスク体制以降、広告審査の厳格化や制限、さらには小規模な法人が広告を出稿できない事例も増えています。その結果、「認知拡大の初速」が得られず、ゼロベースで運用する難しさが際立ってきました。

2. 企業アカウントへの“表示抑制”傾向

Xでは現在、「自社プロモーション中心の投稿」や「リンク中心の投稿」はタイムライン表示が減りやすく、いわゆる“企業臭”が強いアカウントほど自然拡散しづらい仕様になっています。

3. アルゴリズムとユーザー心理の変化

ユーザー側も、「広告感」や「押し売り感」がある投稿には敏感になっており、従来の販促型発信では共感が得られにくい状況です。「人間味」や「企業中の人」などの共感要素が求められています。

こうした複合的な要因により、従来の「広告ありきのX運用」では成果が出にくくなっているのが現状です。

広告に頼らずフォロワーを伸ばすための実践戦略

フォロワー獲得の難易度が上がったとはいえ、広告を使わずに着実に成長している企業アカウントも多数存在します。ここでは、企業視点でも実行しやすく、成果に繋がる具体的な戦略を3つ紹介します。

1. “中の人”発信で共感と親近感をつくる

最近のトレンドとして、「企業の人格」を感じさせる“中の人”発信が非常に効果的です。
社名よりも“人の声”が届きやすい現状では、以下のようなアプローチが有効です。

  • 担当者の実体験や裏話の投稿
  • 社内の日常やエピソードを交えたコンテンツ
  • フォロワーとのやり取りを積極的に見せる

「企業発信なのに親しみやすい」と感じさせることが、フォロー動機に繋がります。

2. 専門性を活かした“教育型コンテンツ”を育てる

BtoB企業や業界性の強い商材では、「学びになるアカウント」としての立ち位置を築くことが鍵です。

  • 課題解決系ノウハウ(例:SNS戦略/EC物流/採用広報)
  • 業界トレンドの速報+解説
  • データ・事例に基づく投稿

これらは検索流入やシェアもされやすく、信頼を集めやすい領域です。

3. イベント連動型の発信で“動的”な運用を作る

定期的に社内イベントやキャンペーン、展示会などのトピックと連動した発信を行うことで、アカウントに「動き」が生まれ、見つけてもらえるチャンスが増えます。

  • イベントハッシュタグの活用
  • その場の写真・空気感をライブ発信
  • リアルとの接点を強調

一過性では終わらず、「この会社面白そう」「社風が伝わる」といったブランディングにも繋がります。

これら3つを組み合わせることで、“広告なしでも人が集まるアカウント”への基礎ができあがります。

企業アカウントが陥りがちな運用ミスと改善策

広告に頼らず伸ばすには戦略が必要ですが、それ以前に「やってはいけない運用」で自ら足を引っ張っているケースも少なくありません。ここでは、企業アカウントがつい陥りがちなNGパターンと、その改善策を紹介します。

1. 自社製品の告知だけになっている

投稿の多くが「新製品発売」「キャンペーン情報」「メディア掲載」ばかりだと、フォロワーは飽きてしまいます。タイムラインで“広告枠”のように映るからです。

改善策:

  • 告知だけでなく「背景」「ストーリー」「裏話」を添える
  • 事例紹介や使い方Tipsなど“実用視点”で再構成する

2. 担当者の温度感が見えない

企業の顔として発信しているにも関わらず、「誰が運用しているか分からない」「感情がない」と感じられるアカウントは、ユーザーとの距離が縮まりません。

改善策:

  • 担当者名を明記(“◯◯の中の人”など)
  • 投稿に日常的なトーンを加え、パーソナリティを出す

3. インサイト分析をせず“感覚”で運用

「とりあえず投稿」「とりあえずリポスト」という行動に終始してしまうと、なぜ伸びたのか・伸びないのかの判断ができず、改善の糸口がつかめません。

改善策:

  • 月ごとに投稿インサイトを簡単に集計
  • 反応が良かった投稿の共通点を可視化・再利用する

まずは「何をやらないか」を明確にすることが、強いアカウントへの第一歩です。

企業アカウントの成長を加速させる運用サイクル

持続的にフォロワーを伸ばしていくためには、単発の施策よりも「仕組みとしての運用サイクル」が鍵になります。ここでは、企業アカウントが実務として取り組みやすい成長の仕組みを3ステップで解説します。

Step 1:目的とペルソナの再定義

まずは、アカウントの存在意義と届けたい相手像を明確にします。

  • 認知拡大? 採用? ブランディング?
  • 想定フォロワー像は誰? どんな悩み・興味を持つ層?

目的によって投稿の方針もコンテンツの粒度も大きく変わります。

Step 2:投稿設計と運用体制の整備

次に、どのような投稿を、誰が、どの頻度で行うのかを決めて“ルーティン化”します。

  • 投稿ジャンルを3〜4種類に分ける(例:ノウハウ/裏話/告知/リポスト)
  • 毎週の投稿予定をExcelやNotionで可視化
  • 社内承認フローや画像テンプレートの準備

この段階での仕組み化が「属人化の防止」と「継続性の確保」につながります。

Step 3:分析→改善→ナレッジ化

運用を通して得られたデータをもとに、定期的な振り返りと改善を行いましょう。

  • 月ごとのフォロワー増加傾向
  • インプレッション上位の投稿傾向
  • 競合アカウントとの比較分析

改善点をスライドや社内報でまとめてナレッジ化すれば、属人化せずに全体の底上げが可能になります。

“計画→実行→分析→改善”のループを短く回すことが、企業アカウントの成長を継続させる最大のポイントです。

企業アカウントも「人間らしさ」と「仕組み」で成果を出せる時代へ

広告に頼らずXでフォロワーを増やすには、単なるテクニックではなく、「人間らしさ」と「運用の仕組み化」がカギになります。

  • 企業“中の人”としての親近感
  • ユーザーにとって価値ある情報の発信
  • 仕組みとして運用を回し、改善し続ける力

Xの仕様やアルゴリズムは今後も変わっていくでしょう。だからこそ、時流に左右されない“軸”を持ったアカウント運用が必要です。

企業がSNSで信頼を獲得する時代。
広告が使えない今は、“中身で勝負する”好機なのかもしれません。

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