IPA|情報処理技術者試験

CREATE VIEW の構文完全理解│午後試験のUNION・JOIN問題を攻略するポイント

午後試験のデータベース分野では、「CREATE VIEW」文を使ったビュー定義の問題が頻出です。特に、「AS の後ろに SELECT 文が直接続く構文」に対して違和感や戸惑いを覚える受験者は多く、出題者の狙いでもある「リレーションシップとビューの構造理解」が試されるポイントです。

今回取り上げる図書館システムの例では、複数の自治体(A市・B市)における書籍・貸出管理テーブルを元に、統一されたビューを作成する問題です。AS 以降に SELECT が出てくる理由や、それぞれの構成要素が何を意味しているのかを、文法・構文レベルから丁寧に紐解いていきます。

また、「統合貸出予約」や「統合検索」といった実務的な用途と照らし合わせた解釈も紹介しながら、理解しづらい部分を会話形式や図表でわかりやすく補います。これにより、「ただ文法を覚える」のではなく、「実際にどう使われるのか」までを視野に入れた深い理解を目指します。

目次

CREATE VIEW の基本構文と AS+SELECT の意味│午後試験で問われるビュー定義の本質

データベースの午後試験で出題される「ビュー定義」問題では、SQL の CREATE VIEW 文が頻出です。中でも、「AS の直後に SELECT がくる」という構文に戸惑う受験者が多く、文法だけでなく構造的な理解が求められます。

■ ビュー(VIEW)とは何か?

ビューとは、複数のテーブルから必要な列や行だけを取り出し、仮想的なテーブルとして扱える仕組みです。実際にデータを保持しているわけではなく、SELECT 文の実行結果を名前付きで保存するイメージです。

CREATE VIEW 文の基本構文

CREATE VIEW ビュー名 (列1, 列2, ...) AS
SELECT 列1, 列2, ...
FROM テーブル
WHERE 条件;
構文要素 意味
CREATE VIEW ビューを作成するキーワード
ビュー名 (列1, 列2, …) 作成するビューの名前と、その列名
AS 「〜として定義する」=SELECT の実行結果として
SELECT ... 実際に取得するテーブルの列データ。ビューの中身になる

■ なぜ AS のあとに SELECT が来るの?

🧑‍🎓「AS のあとに SELECT が続くって、変な感じがするんですけど…?」
👨‍🏫「それは、“このビューは このSELECTの結果 でできています”って意味なんだよ。」

実は AS「〜として」という意味。CREATE VIEW 文の中では、

このビューは「SELECT 文の結果」を 名前をつけて保存したものですよ

という宣言になります。

■ 図解で理解する:元テーブルとビューの関係

+--------------+         +--------------------+
| 書籍A         | JOIN → |  統合貸出予約ビュー  |
|--------------|         |--------------------|
| 書籍名       |         | 蔵書番号             |
| 著者名       |         | 書籍名              |
| 出版社名     |         | 著者名              |
| ISBN番号     |         | 出版社名            |
+--------------+         | ISBN番号           |
                         | 図書館名(固定文字列)|
                         | 貸出状況             |
                         +--------------------+

■ 表で整理:「実データ」と「ビューの定義」の違い

項目 テーブル ビュー
データ保持 あり(物理テーブル) なし(仮想テーブル)
更新可否 通常は不可(※条件付きで可)
構文に必要な要素 テーブル定義 AS SELECT による取得定義
午後試験での焦点 正しいSELECTとJOIN構文 結果列と列名の対応付け

■ 会話で再確認!ビュー定義の正体

🧑‍🎓「つまり、AS の後に SELECT がくるのは、“このビューはこれを元にしてるよ”ってことなんですね?」
👨‍🏫「その通り!ビューは “仮のテーブル” だから、どの SELECT 結果を仮想化するか指定する必要があるんだ。」
🧑‍🎓「SELECT の結果に名前をつけて、何度でも使えるようにするイメージですね!」
👨‍🏫「まさにそれ!午後試験では、この構造が理解できているかを問うてくるから要注意だよ。」

統合貸出予約ビューを読み解く│JOIN構文と図書館ごとの条件設定のポイント

実際の試験問題では、A市・B市の図書館システムで管理されている複数のテーブルを横断的に扱う「統合ビュー」の定義が出題されます。ここでは以下の SQL 文を題材に、「どのようにビューを組み立てるか」「JOIN の目的」「WHERE 条件の意味」について詳しく見ていきましょう。

■ ビュー作成 SQL:統合貸出予約

CREATE VIEW 統合貸出予約
(蔵書番号, 書籍名, 著者名, 出版社名, ISBN番号, 図書館名, 貸出状況) AS

SELECT 蔵書A.蔵書番号, 書籍A.書籍名, 書籍A.著者名, 書籍A.出版社名,
       書籍A.ISBN番号, 'A市図書館', 蔵書A.貸出状況
FROM 蔵書A, 書籍A
WHERE 【a】 AND 【f】

UNION

SELECT 蔵書B.蔵書番号, 書籍B.書籍名, 著者名, 出版社名,
       書籍B.ISBN番号, 'B市図書館', 蔵書B.貸出状況
FROM 蔵書B, 書籍B
WHERE 【d】 AND 【g】

■ 問題文の構造を把握する:UNIONとJOINの役割

🔸UNION とは?

  • UNION2つのSELECT文の結果を縦に結合(行の追加)するSQL構文。
  • A市と B市の「貸出状況データ」をひとつのビューとして統合する目的。

🔸FROM句に複数のテーブルがある意味は?

FROM 蔵書A, 書籍A

これは実質、暗黙の内部結合(INNER JOIN)です。

■ 会話で理解する JOIN 条件の本質

🧑‍🎓「FROM に2つテーブル名があるってことは、JOIN してるってことですよね?」
👨‍🏫「その通り。ただし JOIN するには、どの列同士を結びつけるかを明示する必要があるよ。」
🧑‍🎓「それが WHERE の中の【a】や【d】になるんですね!」
👨‍🏫「正解。たとえば A市なら:

WHERE 書籍A.書籍番号 = 蔵書A.書籍番号

という結びつきが必要なんだ。」

■ 表で整理:A市とB市の結合条件の違い

条件番号 結合条件(WHERE) 意味
a 書籍A.書籍番号 = 蔵書A.書籍番号 A市の蔵書と書籍を書籍番号で結合
d 書籍B.ISBN番号 = 蔵書B.ISBN番号 B市はISBNで結合
f / g 蔵書X.貸出状況 IS NOT NULL など 貸出中書籍に限定するための条件

■ 図で理解:ビュー統合のイメージ図

[ 蔵書A ]    [ 書籍A ]     →  JOIN(書籍番号)
     ↓              ↓
 +-------------------------+
 | 統合貸出予約ビュー(A市) |
 +-------------------------+

[ 蔵書B ]    [ 書籍B ]     →  JOIN(ISBN番号)
     ↓              ↓
 +-------------------------+
 | 統合貸出予約ビュー(B市) |
 +-------------------------+

     ↓ UNION

 +--------------------------+
 | 統合貸出予約ビュー(共通) |
 +--------------------------+

■ まとめ:午後試験で問われる「ビュー+条件設定」の読み方

このように、「複数テーブルのJOIN」と「ビューによる統一表示」は、実務でもよく使われる技術です。午後試験では「JOINの正しさ」「条件設定の意図」がセットで問われます。

特に:

  • A市とB市の違い(結合キーが書籍番号 or ISBN)
  • 図書館名の固定値('A市図書館' など)
  • 貸出状況による絞り込み

を押さえることで、SQL文全体の構造をつかみやすくなります。

ビュー定義で問われる列名の対応とASの別用法│SELECT内のASとCREATE VIEWとの違い

CREATE VIEW 文での出題では、列名の対応関係AS の使い分けに関する理解が問われます。特に混乱しやすいのが、「ビュー定義の先頭にある列名の並び」と「SELECT文内のASによる別名」の違いです。このセクションではそれらを区別して解説します。

■ CREATE VIEW の列名指定は「外側」、SELECT の AS は「内側」

CREATE VIEW 統合ビュー (蔵書番号, 書籍名, 著者名) AS
SELECT a.id, b.title, b.writer
FROM 蔵書 a, 書籍 b
WHERE a.book_id = b.book_id;
ビューの列名(CREATE VIEW) SELECT句のカラム 意味
蔵書番号 a.id ビューでの表示名は変えてある
書籍名 b.title 列の意味は変えずに名前だけ変更
著者名 b.writer SELECTで得た列にビュー用の列名を付与

■ 会話で理解する:AS の2種類

用途 書き方 使う場面
ビュー定義 CREATE VIEW ビュー名 (列名A, 列名B) ビュー全体の列名を指定
別名付け SELECT 列名 AS 別名 結果に表示する列名を変更

🧑‍🎓「じゃあ、ビューの冒頭で列名を決めて、SELECT句では列の“中身”を選ぶってことですか?」
👨‍🏫「その通り!SELECT文で別名をつけるときは、“ビューの中身”を加工してる感じ。ビューの列名は、“外から見たときの顔”を決めてるんだよ。」

■ 午後試験でよく出る!列順ミスの落とし穴

CREATE VIEW 統合ビュー (著者名, 書籍名, 蔵書番号) AS
SELECT 蔵書.蔵書番号, 書籍.書籍名, 書籍.著者名 ...

→ 表示されるビューの「列の順番」が定義と一致しなくなる!

■ 図で確認:列の並びと別名の関係

CREATE VIEW 統合ビュー (①, ②, ③) AS
                        ↓   ↓   ↓
              SELECT x, y, z FROM ...

■ まとめ:AS は「中身の別名」、ビュー名は「外の顔」

項目 CREATE VIEW SELECT句のAS
列名の役割 ビューの「表向きの列名」 内部の列の一時的な別名
優先されるのは? CREATE VIEW の列名 AS で指定してもビューには反映されない
注意点 列順の一致が必須 意味が伝わる別名なら問題なし

ビュー定義と実務活用のつながり│検索効率とセキュリティ対策の観点から

午後試験では、SQL 文の正確さに加えて「なぜビューを使うのか?」という背景知識が問われることもあります。ここでは、ビューの実務的な活用方法を、検索効率やセキュリティ対策の観点から解説します。

■ 実務では「見せたい情報だけをビューで切り出す」

使用者 必要な情報 ビューの目的
一般職員 書籍名・貸出状況のみ 著者やISBNは非公開
管理者 全項目 全データの統合ビュー
外部システム 書籍名+貸出状況 内部IDなどは除外

■ 会話で理解:ビューは「見せたい部分だけの窓」

🧑‍🎓「ビューって、ただのSELECT文じゃないんですか?」
👨‍🏫「実はそれ以上の意味があるんだ。たとえば “本棚にカーテンをかけて、特定の棚だけ見せる” みたいなことができるよ。」
🧑‍🎓「なるほど、ビューを使えば、“見せたい列・行だけ” 公開できるってことですね!」
👨‍🏫「そう!セキュリティ上も、重要な列や個人情報を隠せるから重宝されてるんだ。」

■ 図解:物理テーブル vs ビューのイメージ

[ 書籍テーブル ]
+--------+--------+----------+--------+
| 書籍ID | 書籍名 | 著者     | ISBN   |
+--------+--------+----------+--------+
   ↓

[ 管理者ビュー ]
→ 書籍ID、書籍名、著者、ISBN(全部見える)

[ 職員ビュー ]
→ 書籍名、貸出状況のみ(著者やISBNは隠す)

[ 外部ビュー ]
→ 書籍名+貸出状況+固定文字列「公共蔵書」など

■ ビューの活用例:セキュリティと利便性の両立

活用例 内容
セキュリティ対策 不要な列や個人情報を SELECT 文で除外し、ビュー経由のアクセス制限
メンテナンス性 テーブル構造が変わっても、ビューを介せば既存アプリは影響を受けにくい
検索効率 複雑なJOINをあらかじめ定義しておくことで再利用性が向上

■ 午後試験で問われる「ビューを使う理由」

出題者は、単にSQLを書けるかだけでなく:

  • なぜビューに分けているのか?
  • 誰がこのビューを使うのか?
  • どういう項目が必要で、どれが不要か?

といった実務的な視点で設問を構成することがあります。したがって、「ビューの意義」を理解しておくと、記述問題でも対応しやすくなります。

CREATE VIEW の構造と実務的な視点を押さえて午後試験を攻略しよう

本記事では、CREATE VIEW に関する午後試験の出題パターンを通じて、構文の仕組みから実務的な背景までを解説しました。特に次のポイントを押さえておくことが、午後試験攻略の鍵となります。

✅ 試験対策としての要点まとめ

  • AS+SELECTの意味: 「このビューはこのSELECT結果からできている」という構文的宣言
  • UNION+JOINの活用: 複数のテーブル・自治体データを統合的に扱うための仕組み
  • 列名の対応関係: CREATE VIEWの列順とSELECT句の出力順を一致させる
  • 実務への応用: セキュリティ・メンテ性・検索効率の観点からビューが使われる

✅ 午後問題に向けた学習アプローチ

  • SQL 構文の暗記にとどまらず、「なぜその構文が必要なのか」を常に意識する
  • 実データのつながりや業務での意味を想像しながら読むことで、理解が深まる
  • 図や表を使って構造の対応関係を視覚的に押さえると、記述式問題にも強くなる

午後問題では、「構文の正しさ」だけでなく、「業務でどう使われるか」の視点も求められます。今回のような視点を持ちながら学習すれば、CREATE VIEW の問題は大きな得点源になります。しっかり攻略して得点アップを狙いましょう!

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