「オープンにして配慮をもらうべきか。でも、それだとキャリアが狭まる気がする……」
「いっそクローズで隠し通して、一般就労で頑張ったほうがいいんじゃないか」
就活を前にして、そんな底知れない不安に押しつぶされそうになっていませんか?
こんにちは、ハルです。
私は現在、往復3時間の通勤電車に揺られながら、企業でマーケティングの仕事をしています。
私自身は障害者手帳を持っているわけではありません。でも、「このまま無理をして働き続けたら、いつか心が完全に折れるかもしれない」というギリギリの恐怖は、痛いほどよくわかります。
理想のキャリアや世間体を追い求めて無理をした結果、ある日突然ぷつんと糸が切れたように会社に来れなくなった同僚を、この目で何人も見てきました。
だからこそ、「オープンなら安心」「クローズなら稼げる」といった、無責任な綺麗事や就活テクニックを語るつもりはありません。
「障害者としてではなく、自分自身を見てほしい」
「でも、無理をして再び働けなくなるのも怖い」
そんなあなたの本音を置き去りにしたまま、「どちらが得か」で人生の選択をしてほしくないんです。
この記事では、あなたがあなた自身の心と体を守りながら、この社会で潰れずに長く生き残っていくための「現実的な選択肢」について、一緒に泥臭く考えていきます。
障害者就活のオープン・クローズとは?
就活サイトやSNSを見ていると当たり前のように飛び交う「オープン」「クローズ」という言葉。
まずは、ここを現実の働き方ベースで整理しておきましょう。教科書的な定義ではなく、「入社後にどういう扱いになるのか」という視点が大切です。
ざっくり言うと、「企業に自分の障害や特性を開示するか・しないか」の違いになります。
オープン就労とは
企業に対して、自身の障害や持病、特性を「すべて伝えたうえで」働く働き方です。
基本的には、面接の段階から障害者手帳の有無や必要な配慮(通院への理解、業務量の調整、苦手な環境の回避など)をすり合わせて入社します。
「自分はこういう部分に困難があるけれど、こういう環境・配慮があればしっかり会社に貢献できますよ」と、最初からカードを提示して戦うスタイルですね。
クローズ就労とは
逆に、企業には障害や持病を「一切伝えずに」働く働き方。
面接でも健康上の問題はないものとして振る舞い、他の一般社員と全く同じ土俵、同じ条件で採用されます。
入社後も、当然ながら特別な配慮は前提とされません。「自分の特性は自分でコントロールし、一般社員と同じ成果を出す」という覚悟と自己管理が求められるスタイルです。
「障害者枠=オープン」「一般枠=クローズ」とは限らない
ここで一つ、就活生がよく勘違いしがちな注意点があります。
「障害者枠で受けるならオープン、一般枠で受けるならクローズ」と思われがちですが、実はイコールではありません。
一般枠(通常の求人)に応募しつつも、「実は手帳を持っていて、こういう配慮があれば一般社員と同様に働けます」と面接で開示する『一般枠のオープン就労』という選択肢も存在します。(※企業側がどう受け取るかは別問題ですが、手法としてはあり得ます)
つまり、「どの採用枠を使うか」という入り口の問題と、「自分の弱みや特性を会社にさらけ出すか」というコミュニケーションの問題は、切り離して考える必要があるということです。
結論|オープンとクローズに「どちらが正解」はない
「結局、どっちを選べば私は損をせずに、安心して生きていけるの?」
その答えを探して、ネットの体験談を読み漁っているかもしれません。
でも、最初にお伝えさせてください。
オープンとクローズに、絶対的な「正解」はありません。
X(旧Twitter)などのSNSを見ていると、「絶対にクローズで一般企業に入るべき!障害者扱いはみじめだ」という声もあれば、「クローズで無理して鬱になった。絶対にオープンがいい」という声もありますよね。
他人の極端な成功例や失敗談を見ると、どうしても心が揺さぶられます。
でも、彼らとあなたでは、抱えている特性も、必要な配慮も、仕事に求めるもの(給与・やりがい・安定)も、まったく違うはず。
「どちらが受かりやすいか」という表面的な正解探しをしてしまうと、入社した後に必ず苦しむことになります。
大事なのは、一般論の正解ではなく、
「今の自分の体調と特性を踏まえたとき、どちらを選べば『明日の朝も絶望せずに会社に行けるか』」
という、あなた自身の生存戦略です。
次からは、あなたが自分だけの正解を見つけるために、オープン就労とクローズ就労、それぞれの「リアルなメリットと残酷な側面」を包み隠さず比較していきますね。
オープン就労のメリット
「どうせ障害者枠で入るなら、全部さらけ出した方が楽だよね」
ネットや就活支援のパンフレットを見ると、そんな風に思えてくるかもしれません。たしかに、オープン就労には明確な強みがあります。
でも、それが「あなたにとってのメリット」になるかどうかは別問題。
ここでは、私が会社員としてリアルな現場を見てきた視点も交えつつ、オープン就労を選ぶことで得られる「本当の安心感」について整理してみましょう。
必要な配慮を事前に相談しやすい
一番の強みは、やはりこれ。入社前に「自分にとっての地雷」を避けるための交渉ができることです。
たとえば、「満員電車に乗るとパニックを起こしやすいので、時差出勤をさせてほしい」「定期的な通院が必要なので、月に1回は平日に休みたい」「マルチタスクが極端に苦手なので、業務の指示は口頭ではなくチャットで残してほしい」。
これらを、面接の段階で堂々とカードとして切ることができます。
一般の会社員だと、入社後に「実は私、これが苦手で……」と上司に相談しても、「みんな我慢してるんだから」「社会人なんだから気合で乗り切れ」と一蹴されてしまうのが現実。
でも、オープン就労であれば、企業側も「そういう配慮が必要な人材」として受け入れる前提があるため、最初から働きやすい環境を構築しやすいのです。
障害特性を隠し続ける負担が少ない
「バレたらどうしよう」という怯えから解放される。
精神的な面で言えば、これが最大のメリットかもしれません。
クローズで働いていると、常に「普通の人」を演じ続けなければなりません。
薬を飲むタイミングをトイレの個室でこっそり見計らったり、通院のための有給申請の理由を必死に捻り出したり。少し体調が悪いだけでも、「休んだら怪しまれるんじゃないか」と焦る。
この「隠し事をするエネルギー」って、想像以上に心と体をすり減らします。仕事そのものの疲労よりも、演じることによる疲労で限界を迎えてしまう。
オープンにしてしまえば、「自分はこういう特性を持った人間です」と名札を下げているようなもの。無駄なエネルギーを削ぎ落とし、目の前の業務に集中できるのは大きなアドバンテージです。
体調悪化時に相談しやすい環境を選びやすい
どれだけ気をつけていても、体調を崩すときは崩します。人間ですから。
そんな時、オープン就労であれば「 SOS 」を出しやすい。これが本当に大きい。
私の同僚にも、突然会社に来られなくなった人がたくさんいます。彼らの多くは、ギリギリまで「大丈夫です、やれます」と周りに言い続け、誰にも頼れないまま限界を突破してしまいました。
オープン就労の場合、企業側も「体調の波があるかもしれない」とある程度想定しています。
そのため、「少し調子が悪いので、今日は業務量を調整させてください」といった相談が、クローズに比べて格段にしやすい。最悪の事態(長期休職や退職)を未然に防ぐためのセーフティネットが、最初から張られている状態と言えます。
障害者採用に積極的な企業を探しやすい
オープン就労を前提に動くことで、「障害への理解がある企業」「合理的配慮の実績がある企業」をターゲットに絞り込んで就活を進めることができます。
最近は、大手企業や有名企業でも、障害者雇用枠での採用に力を入れているところが増えています。(法定雇用率の引き上げという大人の事情もありますが……)
そういった企業は、すでに受け入れのノウハウを持っていたり、社内に相談窓口が設置されていたりするため、入社後のミスマッチが起きにくい。
「配慮のない環境に飛び込んで玉砕する」というリスクを、企業選びの段階から大きく減らすことができるのです。
オープン就労のデメリット・注意点

さて、ここからが本番です。
メリットだけを見て「じゃあオープンにしよう!」と飛びつくのは、ちょっと待ってください。
綺麗事なしで言えば、オープン就労には「キャリアや収入の制限」という、無視できない残酷な側面があります。
「オープンなら安心」という言葉の裏側に潜む罠について、しっかりと目を向けておきましょう。
応募できる求人が限定される場合がある
オープン就労、特に「障害者雇用枠」を利用する場合、どうしても一般枠に比べて求人の絶対数が少なくなります。
企業側からすると、「この仕事なら、配慮があってもお願いできるな」と切り出した業務(いわゆる切り出し業務)を求人として出すことが多い。
そのため、「どうしてもこの業界の、この職種に就きたい!」と強く希望していても、そもそも障害者枠でその求人が存在しない、というケースが多々あります。
自分のやりたい仕事と、応募できる求人の間にあるギャップ。ここで葛藤する学生は非常に多いという現実があります。
給与や職種の選択肢が希望と合わない場合がある
これは、読者の皆さんが一番恐れていることかもしれません。
「障害者枠=給料が低い、単純作業ばかり」
一昔前に比べれば改善されてきているとはいえ、まだこうした傾向が完全に消えたわけではありません。
企業によっては、一般枠と障害者枠で給与テーブルを明確に分けているところもあります。また、業務内容が定型業務(データ入力や軽作業など)に限定されやすく、どれだけ頑張っても昇進・昇格のチャンスが限られている(キャリアアップしづらい)環境も存在します。
「普通に働いて、普通に稼いで、普通にキャリアを積みたいだけなのに……」
そんな悔しさを抱えながら、配慮と引き換えに収入ややりがいを妥協しなければならない場面が出てくる可能性があります。
「障害者」という先入観を不安に感じる人もいる
オープンにすることで、「◯◯さん」という個人ではなく、「障害のある◯◯さん」というフィルターを通して見られることになります。
もちろん、企業側はフラットに接しようと努力するはずです。でも、周囲の社員から「あの人は障害があるから、あまり難しい仕事は振らないでおこう」「腫れ物に触るように接しよう」と、過剰に気を遣われてしまうことも。
「できないことだけで評価されたくない」
「対等な職場の仲間として認められたい」
そう願っているのに、配慮という名の「見えない壁」を感じてしまい、それが逆に居心地の悪さや疎外感に繋がってしまう。これは、オープンにしたからこそ直面する心理的なハードルです。
合理的配慮があれば必ず働きやすいとは限らない
最後に、もう一つ厳しい現実を。
「障害をオープンにして、必要な配慮事項を伝えた。だから、入社後は絶対に快適に働けるはずだ」
残念ながら、そうとは限りません。
面接で人事とすり合わせた配慮事項が、現場の直属の上司や同僚にきちんと共有されていない。
制度としては存在しているのに、いざ使おうとすると嫌な顔をされる。
会社の業績が悪化して、余裕がなくなった途端に配慮が形骸化する。
会社も生き物です。「オープンにした=永遠の安心が約束された」わけではありません。配慮を求めつつも、自分自身で環境に適応していくタフさや、現場の人間関係を構築していく努力は、やはり必要不可欠なのです。
クローズ就労のメリット
オープン就労のシビアな現実を見たうえで、「やっぱり自分は一般枠で、クローズで勝負したい」と感じた方もいるはずです。
実際、クローズ就労には、オープンでは得難い「圧倒的な自由」と「可能性」があります。
社会の荒波にそのまま飛び込むことになる分、制約のない環境で自分を試せるのが最大の魅力ですね。
一般求人を含め応募先の選択肢が広がる
世の中にある無数の新卒求人。そのすべてが、あなたの選択肢になります。
障害者枠の求人は、どうしても大手企業の子会社や、特定の事務職、軽作業などに偏りが出がち。でも、クローズであれば「このITベンチャーで挑戦したい」「あのメーカーの企画部に行きたい」という純粋な熱意のまま、エントリーボタンを押すことができます。
入り口のドアの数は、言うまでもなく桁違いに多いんです。
職種やキャリアの選択肢を広げやすい
「現場で経験を積み、ゆくゆくはマーケターとして事業を動かしたい」
「成果を出してマネージャーに昇格したい」
そんなキャリアの青写真を描いたとき、クローズ就労には「障害があるから」という理由で設けられる見えない天井がありません。
健康な同期たちと全く同じスタートラインに立ち、成果を出せば出した分だけ、キャリアアップのチャンスが巡ってきます。
自分の実力で道を切り拓いていきたい、というハングリーな思いがあるなら、このフェアな環境は大きなやりがいに繋がるはずです。
障害を理由に先入観を持たれる不安を減らせる
「あの人は配慮が必要な人だから」という、良くも悪くも特別な目で見られることがありません。
純粋に「新入社員の◯◯さん」としてフラットに扱われ、仕事の成果や日々のコミュニケーションだけで評価される。
この「普通に扱ってもらえる」「変に気を遣われない」という人間関係は、障害や持病をコンプレックスに感じている人にとって、何よりの精神的安定剤になることがあります。
クローズ就労のデメリット・注意点

自由で、選択肢に溢れ、キャリアの天井がない。
でも、その裏側にあるのは「すべて自己責任でコントロールしなければならない」という、極めてシビアな競争社会です。
私が毎日、往復3時間の通勤電車に揺られながら見ている「容赦のない現実」をお話ししますね。
障害に関する配慮を前提にできない
当然ですが、会社はあなたが「心身ともに健康である」という前提で業務を振ってきます。
「今日は薬の副作用で頭が働かない」「通勤ラッシュの圧迫感でパニックになりそう」といった個人的な事情は、基本的には考慮されません。
配慮がない環境で、体力も気力も万全な同期たちと同じスピード、同じタフさを求められる。
このプレッシャーを、自力でいかにいなしていくか。自己管理能力が極めて高く要求されます。
無理をして働き続けてしまう可能性がある
「周りが残業しているから、自分も帰れない」
「ここで弱音を吐いたら、評価が下がるんじゃないか」
クローズで働いていると、この呪縛に深く囚われやすくなります。
自分の中で限界のサインが出ているのに、それにフタをして「普通の人」のペースに必死に合わせようとしてしまう。
気がついたときには、週末はずっとベッドから起き上がれなくなり、最終的には月曜の朝に玄関から一歩も出られなくなる……。
そんな風に、心をすり減らして強制終了してしまう人を、私はこの会社員生活の中で幾度となく見てきました。
体調を崩したとき相談しづらくなることがある
本当に限界が来たとき、クローズだと「なぜ仕事のパフォーマンスが落ちているのか」「なぜ頻繁に休むのか」という理由を、うまく説明できません。
「実は持病があって……」と後から打ち明けるのは、想像以上に勇気が要ります。上司によっては「なぜ面接のときに言わなかったんだ」と不信感を持たれるリスクすらある。
結果として、誰にも本当の理由を相談できないまま、一人で抱え込んで退職の道を選んでしまう。これが一番悲しい結末です。
「隠し続けなければ」という心理的負担が生まれることもある
「いつかバレるんじゃないか」という見えない恐怖。
通院のための有休申請の言い訳を考える苦労。
薬を飲む姿を同僚に見られないようにする気遣い。
これらは、一つひとつは些細なことかもしれません。でも、これが何ヶ月、何年と続くと、ボディブローのように確実に精神を削ってきます。
仕事そのものの重圧に加えて、「自分を偽り続けるストレス」を二重で背負い込む。
その覚悟とタフさが、今の自分にあるかどうか。ここは冷静に見極める必要があります。
オープンとクローズを5つの項目で比較
ここまで、オープン就労とクローズ就労、それぞれの「光と影」を見てきました。
「結局、どっちを選べばいいか余計に分からなくなった……」と頭を抱えているかもしれませんね。
でも、それで大丈夫です。むしろ、メリットとデメリットの両方を知って立ち止まれたこと自体が、就活における大きな一歩なんですよ。
情報を整理するために、よくある疑問を5つの項目で比較表にしてみました。
ただし、これはあくまで「全体的な傾向」です。「オープンだから絶対に給料が低い」「クローズだから絶対にキャリアアップできる」という単純な◯×ゲームではない、という前提で見てくださいね。
| 比較項目 | オープン就労 | クローズ就労 |
|---|---|---|
| 求人の選択肢 | 限定的になりやすい(※職種や業界に偏りがある場合も) | 幅広い(※世の中のすべての新卒求人が対象) |
| 障害への配慮 | 事前に相談・交渉ができ、入社後も受けられやすい | 原則として配慮は前提とされない(※自己管理が必須) |
| 給与・待遇 | 企業によっては一般枠より低く設定されることがある | 一般枠と同等(※成果主義の側面が強い) |
| キャリア | 定型業務が多く、昇進・昇格の幅が限られるケースもある | 実力次第でキャリアアップの天井はない |
| 入社後の働きやすさ | 体調不良時の相談がしやすく、心理的な負担は少ない | 「隠し続ける」プレッシャーや、無理をしてしまうリスクがある |
「普通に働きたい」という気持ちと「配慮がないと潰れてしまうかもしれない」という不安。
この表を見ながら、あなたが一番「妥協できないポイント」はどこか、少しだけ考えてみてください。
オープン・クローズを決める5つの判断基準

では、具体的に「自分の場合はどちらを選べばいいのか」。
ここからは、私がマーケターとして物事を分析するときの思考法も交えながら、あなた自身の状況を棚卸しするための「5つの判断基準」をお伝えします。
「正解」を探すのではなく、「今の自分にとって、どちらが無理なく働き続けられるか」という生存戦略の視点でチェックしてみてください。
① 働くうえで配慮が必要か
まずは、最もシビアで現実的な問いから。
「あなたは今、業務を遂行するうえで、企業側に何らかの配慮を『必ず』お願いする必要がありますか?」
たとえば、「服薬の影響で午前中はどうしても起きられない日がある」「定期的な通院のために、月に◯回は必ず平日に休みたい」「特定の環境音があるとパニックになってしまう」。
こうした「自分の努力だけではどうにもならない特性」があり、それが満たされないと確実に体調を崩すという場合は、オープン就労を強く検討すべきサインです。
逆に、「薬さえ飲んでいれば症状は抑えられていて、特別な配慮がなくても一般社員と同じように動ける」のであれば、クローズも現実的な選択肢に入ってきます。
② 体調や症状に波があるか
障害や持病の種類によっては、「調子が良い時期」と「ガクッと崩れる時期」の波が激しいケースがありますよね。
就活をしている今は、アドレナリンが出ていて「クローズでも全然やれる!」と思い込んでいるかもしれません。でも、本当に恐ろしいのは、入社して数ヶ月後、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスが積み重なったときにやってくる「波の底」です。
もし過去を振り返って、定期的に大きく体調を崩すサイクルがあるなら、不測の事態に「SOS」を出せるオープン就労の方が、結果的に長く働き続けられる可能性が高いです。
③ 希望する仕事はどちらに多いか
「どうしてもこの業界で働きたい」「こういう職種でキャリアを積みたい」という明確なビジョンがある場合。
その仕事が、オープン就労(障害者枠)の求人として存在するかどうかを調べてみてください。
現実として、クリエイティブな職種や、ゴリゴリの営業職、あるいは特定のニッチな業界の求人は、障害者枠では極端に少ないことがあります。
もし、あなたのやりたい仕事が一般枠にしかなく、「配慮がなくてもその仕事に挑戦したい」という強い覚悟があるなら、クローズで挑むのも一つの道です。
④ 給与・キャリアをどこまで重視するか
綺麗事なしで言えば、仕事はお金を稼ぐための手段です。
「将来的にこれくらいの年収を稼いで、自立した生活を送りたい」
「ゆくゆくはマネジメント層に上がって、自分のチームを持ちたい」
こうした給与やキャリアアップに対する強いこだわりがあるなら、オープン就労の求人を選ぶ際には「一般枠と給与テーブルが同じか」「キャリアパスが用意されているか」を、面接の段階で徹底的に確認する必要があります。
そこで妥協できないのであれば、厳しい競争を覚悟の上でクローズを選ぶ理由になります。
⑤ 障害を伝えないこと自体が負担にならないか
最後に、一番見落としがちな「心理的な負担」について。
クローズ就労は、言ってみれば「毎日、透明な鎧を着て出社する」ようなものです。
本当の自分を隠し、健常者と同じペースで走り続ける。その「演技」を、これから何年、何十年と続ける覚悟がありますか?
「いつかバレるかもしれない」「休む理由を毎回取り繕うのがしんどい」
そんな見えないプレッシャーで神経をすり減らし、仕事の成果どころではなくなってしまう人もいます。
「隠すこと」自体が強烈なストレスになるタイプの人は、オープンにしてしまった方が、拍子抜けするほど楽に仕事に向き合えることが多いです。
こんな人はオープン就労を検討しやすい
5つの判断基準、いかがでしたか?(……なんて、偉そうにチェックリストを作ってしまいましたが、人間の心なんてそんなに綺麗に割り切れるものではないですよね)
でも、もしあなたが以下の項目に複数当てはまるようなら。
私は迷わず、「まずはオープン就労(障害者枠での就職)をメインに据えて、企業探しを始めてみてほしい」と背中を押します。
- 業務上で「これだけは外せない」という継続的な配慮事項がある
- 定期的な通院や、服薬による体調の波が現在も続いている
- パニックやフリーズなど、自分の意思ではコントロールしにくい特性がある
- 給与の高さや出世よりも、「一つの会社で長く、安定して働き続けること」を何より優先したい
- 「隠し事をしている」という罪悪感やプレッシャーに極端に弱い
「やっぱりキャリアを諦めることになるのかな……」と、悔しい気持ちもあるかもしれません。
でも、考えてみてください。
無理をしてクローズで入社し、半年で心身を壊して退職してしまったら、キャリアも何もないんです。
まずは、あなたの心と体を守ってくれる「安全基地」となる会社を見つけること。
そこで数年かけて「安定して働けた」という実績と自信を積む。そこから社内でステップアップを目指したり、より条件の良い別の企業へ転職したりする道だって、今の時代いくらでもあります。
「急がば回れ」という言葉は、こういう時のためにあるんじゃないかと、私は本気で思っています。
こんな人はクローズ就労も選択肢になる
一方で、「やっぱり自分は一般枠で、クローズで勝負したい」という覚悟が決まりつつある人もいるでしょう。
私は、その挑戦を絶対に否定しません。
もしあなたが以下の状態にあるなら、クローズ就労という厳しい道も、現実的な選択肢として見えてきます。
- 業務を遂行するうえで、企業側に特別な配慮や環境調整を求める必要がない
- 服薬などで症状がコントロールできており、長期的に体調が安定している
- どうしても挑戦したい特定の職種や業界があり、それが一般枠にしか存在しない
- 「配慮がない環境」であることを理解したうえで、自分の実力でキャリアや給与を勝ち取りたい
- 自分の体調の波を客観的に把握し、休日の過ごし方などで自己管理(ガス抜き)ができる
特に最後の「自己管理ができる」というのは、クローズで生き残るための絶対条件です。
先ほども言ったように、クローズ就労は「透明な鎧」を着て、配慮のない荒波を自力で泳ぎ切る覚悟が求められます。
「周りが残業しているから」「頼まれたら断れないから」と、他人のペースに巻き込まれて限界を突破してしまうタイプの人には、あまりおすすめできません。
「私は私。体調を崩すくらいなら、ドライに割り切ってサッサと帰る」
これくらい図太く、自分を律してコントロールできるメンタルの強さ(あるいは、そうする努力)があるなら。
クローズという大海原で、存分に実力を試してみるのも素晴らしい選択だと思います。
「クローズで入社して後から伝える」はできる?
「とりあえずクローズで一般枠として入社して、もし仕事がキツくなったり体調を崩したりしたら、その時に手帳を出して配慮をお願いすればいいんじゃないか?」
就活のプレッシャーから逃れたくて、そんな「裏技」のような方法が頭をよぎることもあるかもしれません。
たしかに、法律上は入社後に障害を開示することは禁止されていませんし、企業側には「合理的配慮の提供義務」があります。
でも、現場で働く会社員のリアルな感覚として言わせてください。
この「最初から後出しジャンケンを狙う戦略」は、想像以上にハイリスクで、あなた自身を苦しめることになります。
入社後に配慮が必要になる可能性まで考えておく
環境が変われば、ストレスの度合いも変わります。
学生時代はコントロールできていた症状が、満員電車での通勤や、理不尽な顧客対応、マルチタスクの連続といった社会人のリアルな負荷によって、突然悪化することは珍しくありません。
「今は大丈夫だから」とクローズで入社しても、数ヶ月後、あるいは数年後に、どうしても配慮が必要になるタイミングが来るかもしれない。
その可能性をゼロだと決めつけず、「もしそうなった時、この会社で自分から言い出せるだろうか?」という視点を持っておくことは非常に重要です。
最初から「後で伝えればいい」と決めない
一番危険なのは、「バレなければいい。ダメになったら後で言えばいいや」という前提でクローズ就労を選ぶこと。
会社という組織は、良くも悪くも「信頼関係」で回っています。
入社してしばらく経ってから、「実は障害があって、こういう業務はできません」と突然伝えられたら。人事や現場の上司は、「なぜ採用面接の、お互いの条件をすり合わせる場で言ってくれなかったんだ」と少なからず戸惑います。
「騙し討ちされた」と受け取られてしまうと、その後の人間関係がギクシャクし、本来なら受けられるはずの配慮までスムーズに進まなくなる。結果的に、あなたが一番居心地の悪い思いをすることになってしまうのです。
体調や環境が変わったら一人で抱え込まない
とはいえ、最初から騙すつもりはなくても、入社後に予期せず体調が悪化してしまい、結果的に「後から伝える」ことになってしまうケースは当然あります。
もしそうなってしまった時は、絶対に「隠し通さなきゃ」と一人で抱え込まないでください。
勇気は要りますが、産業医や人事、信頼できる上司に早めに相談すること。企業には従業員の健康を守る安全配慮義務がありますし、2024年4月からは事業者による障害者への合理的配慮の提供が法的に義務化されています。
「最初から後出しを狙う」のはNGですが、「結果的に後から配慮が必要になった」場合は、自分を守るためにきちんと声を上げる。この線引きは忘れないでくださいね。
オープンにすると「障害者扱い」されるのが怖いとき
「オープン就労のメリットや、クローズの危険性はわかった。でも……やっぱり障害者として見られるのが怖いんです」
ここまで読んでも、どうしても拭いきれない感情があるはずです。
キャリアアップの道が閉ざされるんじゃないか。同僚から「腫れ物」のように扱われるんじゃないか。その恐怖、痛いほどよくわかります。
障害を伝えることで見方が変わるのではと不安になることはある
「できないことばかり注目されて、私が今まで頑張って身につけてきたスキルや、仕事への熱意を見てもらえなくなるんじゃないか」
この不安は、決してあなただけのものではありません。
実際に、配慮を求めることで「じゃあ、この責任ある仕事は外しておこうか」と、企業側が過剰に配慮(という名の仕事の剥奪)をしてしまうケースも、ゼロではないのが現実です。
フラットな一人のビジネスパーソンとしてではなく、「配慮が必要な人」というレッテルを貼られてしまうことへの抵抗感。これは、真面目で向上心がある人ほど強く感じる、ごく自然な葛藤です。
重要なのは「オープンにするか」だけではなく企業選び
でも、ここで視点を少し変えてみましょう。
「障害を伝えたら、必ず不利になる」「必ず腫れ物扱いされる」と、世の中のすべての企業を一括りにして絶望する必要はありません。
世の中には、法定雇用率を満たすための「数合わせ」としてしか障害者採用を見ていない企業もあれば、逆に「障害の有無に関わらず、その人の強みを活かして事業に貢献してほしい」と本気で考えている企業もあります。
後者のような企業であれば、オープンにすることは「障害者扱いされる」ことではなく、「あなたという個人のトリセツ(取扱説明書)を共有する」ことにすぎません。
「私はここが苦手なので配慮をお願いします。その代わり、この得意分野でしっかり会社に貢献します」という、対等なビジネスの交渉が成立するのです。
つまり、怖いのは「オープンにすること」自体ではなく、「障害者を単なる『枠』としてしか見ていない企業に入ってしまうこと」。
だからこそ、オープンで就活をするなら、企業のスタンスを見極める「企業選び」が何よりも重要になってくるわけです。
迷ったら「どちらで就活するか」より先に整理したいこと
「オープンか、クローズか」
ここまで読んでもまだ迷いがあるなら、一旦その二択から離れてみましょう。
「どちらの枠で受けるか」という手段から先に決めようとするから、身動きが取れなくなるんです。
まずは、あなた自身の「絶対に譲れないライン」と「実は妥協できるポイント」を棚卸しすること。
ノートでもスマホのメモでもいいので、騙されたと思って以下の5つを整理してみてください。
- どんな仕事がしたいか(あるいは、絶対にやりたくない仕事は何か)
- どんな場面、どんな環境が極端に苦手か(満員電車、電話対応、マルチタスクなど)
- どんな条件が揃っていれば、体調を崩さずに問題なく働けるか
- 企業側に求める「最低限の配慮」はどの程度か
- 仕事内容、収入、雇用の安定、キャリアアップ。今の自分は何を一番優先したいのか
これらを一つひとつ可視化していくと、「あれ、私の優先順位ならクローズで競争するしかないな」とか、「この配慮が絶対必要なら、オープン一択だな」というふうに、自ずと答えが浮き彫りになってきます。
「受かりやすさ」ではなく、「あなたの生きやすさ」を軸にしてパズルを組み立て直すイメージですね。
一人で決めきれないなら障害者就活の専門家に相談する方法もある
とはいえ、「自分の障害特性が実際の仕事にどう影響するのか、自分でもよくわからない」
「配慮とキャリア、両方諦めたくないけれど、そんな求人をどうやって探せばいいの?」と、一人で頭を抱えてしまうこともありますよね。
自分の限界や適性って、自分自身が一番見えにくいものです。
もし、ノートに書き出しても答えが出ず、堂々巡りになってしまっているなら。障害者就活のリアルな現場を知っている専門家に、一度状況を整理してもらうのも極めて現実的な手段です。
たとえば、障害のある新卒学生向けの就活サポートを行っている「atGP(アットジーピー)就活エージェント」のようなサービスを活用するのも一つの手。
専任のキャリアプランナーが間に入り、「あなたの特性なら、オープンにしてこういう配慮を引き出した方が働きやすい」「この業界で、こういう配慮実績のある求人がある」といった、ネットには落ちていない事実ベースで相談に乗ってくれます。
特に大きいのは、「自分の障害を企業にどこまで、どう伝えるべきか」という、一番悩ましくデリケートな部分の壁打ち相手になってくれること。
ES(エントリーシート)の添削や面接対策はもちろん、表には出ていない非公開求人の紹介、さらには内定後から入社までのフォローまで、伴走してもらえる環境があるのは心強いはずです。
もちろん、「エージェントを使えば絶対に大手に入れる」「必ず内定がもらえる」といった魔法はありません。希望する条件や、その時の求人状況によっては、すぐにピッタリの企業が見つからないこともあります。
それでも、就活という孤独な戦いの中で、「あなたの特性をフラットに理解し、一緒に生存戦略を練ってくれる第三者」がいるのといないのとでは、精神的なすり減り方が全く違います。
atGP就活エージェントが向いている人
- オープンとクローズ、どちらが自分に合っているか一人で決めきれない
- 企業に求める「必要な配慮」をうまく言語化できていない
- 大手企業や有名企業も視野に入れて就活の選択肢を広げたい
- 「障害への配慮」と「キャリア・やりがい」のどちらも諦めたくない
- 自分にマッチする求人を、プロの目線で一緒に探してほしい
もし一つでも当てはまるなら、一人で求人サイトを眺めて不安を募らせる前に、まずはプロに現状を打ち明けてみる。
そんな「賢い頼り方」も、社会で潰れずに生き抜くための立派なスキルですよ。