前の記事の活用術を実践して、ついにA/Bテスト付きのリールを投稿しましたね。素晴らしい行動力です!
でも、投稿して一息ついた今、きっとこんな新たな疑問が頭に浮かんでいるはずです。
「テストをやってみたはいいけど、結果ってどこで見ればいいの?」
「インサイトを開いてみたけど、数字がいっぱいで…結局どっちが良かったってこと?」
その気持ち、痛いほど分かります。僕もマーケティングの仕事を始めたばかりの頃は、データを前にしてよく思考停止していました。特に僕みたいなADHDの人間は、情報が多すぎると「うわっ!」となって、どこから手をつけていいか分からなくなってしまうんですよね。
でも、安心してください。データ分析は、決して難しいものではありません。見るべき場所と、見るべきポイントさえ分かれば、誰でもできます。
結論からお伝えします。A/Bテストは『やって終わり』では効果ゼロです。『結果を分析し、次に活かす』ところまでがワンセット。
この記事では、テスト結果の正しい確認方法から、分析すべき重要な指標、そしてその結果を次の投稿改善に繋げるための具体的なサイクル(PDCA)の回し方まで、全手順を丁寧に解説していきます。
目次
【どこで見る?】トライアルリール(A/Bテスト)結果の確認方法
「早く結果が知りたい!」その気持ちは分かりますが、まずは落ち着いて。一番の疑問である「テスト結果はどこで見られるのか」を、ここでスッキリ解決しましょう。場所さえ分かれば、もう迷うことはありません。
テスト結果はいつ、どこに表示されるのか?
まず知っておきたいのは、テスト結果がすぐに表示されるわけではない、ということです。
Instagramが「どちらのパターンがより優れているか」を判断するには、ある程度のデータ(表示回数など)が集まる必要があります。そのため、結果が確定するまでには、投稿してから数時間〜1日程度かかるのが一般的です。焦らず、少し時間をおいてから確認するようにしましょう。
結果が表示される場所は、テストを実施したリール投稿の「インサイト」の中です。
手順①:該当リール投稿の「インサイトを表示」をタップ
具体的な確認手順です。
- あなたがA/Bテストを実施したリール投稿を、フィードやプロフィール画面から開きます。
- 動画の左下あたりに、紙飛行機マークなどと並んで「インサイトを表示」という青い文字のボタンがあるはずです。ここをタップしてください。
普段から投稿の分析をしている方にはお馴染みのボタンですね。
手順②:「バリエーション」タブで各パターンの結果を確認する
「インサイトを表示」をタップすると、再生数や「いいね!」の数が表示されるお馴染みの画面が開きます。
ここで、画面の上部を見てください。普段は「概要」しか表示されていませんが、A/Bテストを実施した投稿の場合、その隣に「バリエーション」という新しいタブが出現しています。
ここが、テスト結果が格納されている場所です。この「バリエーション」タブをタップしましょう。すると、あなたが設定したAとB、それぞれのパターンのパフォーマンスが並んで表示されます。
「パフォーマンスが高かったバリエーション」の表示が持つ意味
「バリエーション」タブを開くと、多くの場合、Instagramが自動で「パフォーマンスが高かったバリエーション」として、どちらか一方を「勝者」として判定し、王冠マークなどで示してくれます。
これは、設定された期間内に集まったデータを基に、「総合的に見て、こちらのパターンの方がユーザーの反応が良かったですよ」というInstagramからの答えです。
まずはこの「勝者」がどちらだったかを確認するのが第一歩。そして、次の章では「なぜそちらが勝ったのか?」を、具体的な数字を見ながら深掘りしていきます。
【何を分析する?】結果から読み解くべき3つの重要指標
テスト結果の場所が分かったら、次はその「中身」を読み解いていきましょう。「バリエーション」タブにはいくつかの数字が並んでいて、少し戸惑うかもしれません。でも安心してください。すべてを完璧に理解する必要はありません。見るべきポイントは、たったの3つです。
指標①:リーチ数 or 再生回数 ― どちらがより多くの人の目に留まったか
まず見るべきは、最も基本的な「リーチ数」や「再生回数」です。これは、あなたのリールの各バリエーションが、それぞれ「どれだけ多くの人の画面に表示されたか」を示す数字です。
この指標は、特に「サムネイルテスト」を行った場合に重要になります。
なぜなら、魅力的なサムネイルはクリック率を高め、結果としてInstagramのアルゴリズムに「これは良い投稿だ」と評価され、より多くの人におすすめ表示される(=リーチが伸びる)傾向があるからです。つまり、「リーチ数 or 再生回数が多い = より多くの人の指を止めさせた、魅力的なサムネイルだった」と分析することができるのです。
指標②:エンゲージメント(いいね・コメント・保存) ― どちらがより心を動かしたか
次に注目したいのが、「いいね!」「コメント」「保存」「シェア」といった「エンゲージメント」の数です。これらは、ただ投稿が見られただけでなく、見た人の「心を動かし、具体的なアクションをさせたか」を示す、非常に価値のある指標です。
特に「キャプションテスト」では、このエンゲージメント数が重要な判断基準になります。心を動かすキャッチーなキャプションは、ユーザーの共感を呼んでコメントが増えたり、「後で見返したい」と思わせて保存数を増やしたりする効果があるからです。中でも「保存」は、ユーザーにとって価値が高い情報だった証拠。リーチ数で負けていても、保存数で勝っているなら、そちらのパターンに価値があったと判断できます。
指標③:プロフィールへのアクセス数 ― どちらがフォロワー増に繋がりやすかったか
そして、最終的にフォロワーを増やしたい私たちが最も注目すべき、隠れた重要指標が「プロフィールへのアクセス数」です。
リール投稿の最終ゴールは、動画を見てもらって終わり、ではありませんよね。「この人の他の投稿も見てみたい」「このアカウントをフォローしたい」と思わせ、プロフィール画面に訪問してもらうことが、フォロワー増に繋がる最後のステップです。
どんなサムネイル、どんなキャプション、どんな動画の内容が、ユーザーをプロフィール訪問まで導いてくれたのか。この数字を見れば、「どちらのパターンが、よりフォロワーになってくれる可能性の高いユーザーを惹きつけたか」が分かります。
【重要】どの指標を重視すべきかは、あなたの「テストの目的」によって変わる
ここまで3つの指標を解説しましたが、「じゃあ、結局どの数字が一番大事なの?」と混乱してしまったかもしれません。その答えは、「あなたの今回のテストの目的によります」。
- 目的が「クリック率改善」なら → リーチ数・再生回数を最重視する。
- 目的が「投稿の満足度アップ」なら → エンゲージメント数(特に保存)を重視する。
- 目的が「新規フォロワー獲得」なら → プロフィールへのアクセス数を最重視する。
このように、テストを始める前の「仮説」と、結果を分析する「指標」をセットで考えることが、データ分析で迷子にならないための最大のコツです。
【どう改善する?】分析結果を次に活かす「リール改善PDCA」の回し方
テスト結果の確認方法と、分析のポイントがわかりましたね。
「なるほど、今回はBのサムネイルの方がリーチ数が多かったのか」と、これで一つ賢くなりました。
しかし、一番大事なのはここからです。
分析して「わかった」で終わらせてしまっては、ただの知識でしかありません。その学びを「次に活かす」ことで、初めてあなたのリールは本当に伸び始めます。
ここでは、そのための具体的な改善サイクル、ビジネスの世界ではお馴染みの「PDCA」について解説します。
インスタ運用におけるPDCAサイクルとは?
PDCAと聞くと、なんだか難しそう…と感じるかもしれませんが、ご安心を。やることは非常にシンプルです。
- P (Plan) :計画する → 次の投稿の「仮説」を立てる
- D (Do) :実行する → 仮説に基づいて投稿し、A/Bテストを行う
- C (Check) :評価する → テスト結果を分析する
- A (Action):改善する → 分析結果を基に、次の計画(P)に活かす
この4つのサイクルを、グルグルと回し続けること。これこそが、感覚だけに頼らず、データという根拠を持ってアカウントを成長させるための最強のエンジンになります。
Plan(計画):分析結果から、次のテストの「仮説」を立てる
PDCAの出発点は、いつだって「計画(Plan)」、つまり「仮説立て」です。そして、その仮説のヒントは、前回のテスト結果(Check)の中にあります。
例えば、前回のサムネイルテストで、
【結果(C)】:『理想の未来を見せるサムネ』が『悩みを刺激するサムネ』に、リーチ数で圧勝した。
というデータが得られたとします。
では、この結果を受けて、次の【計画(P)】をこう立ててみましょう。
【次の仮説(P)】:「なるほど、うちのフォロワーは『理想の未来』に惹かれるのか。では、『理想の未来』の中でも、『人物がアップのサムネ』と『引きで風景も見せるサムネ』では、どちらがよりクリックされるだろうか?」
このように、テスト結果という事実を基に、さらに一歩踏み込んだ仮説を立てるのがポイントです。
Do(実行):仮説に基づいてリールを作成し、A/Bテストを実施する
計画(Plan)を立てたら、次はもちろん「実行(Do)」です。
先ほどの仮説に基づいて、「人物アップのサムネ」と「引きの風景サムネ」の2パターンを用意し、A/Bテスト機能を使ってリールを投稿します。
この時、一つだけ注意してほしいのは、「テストしたい要素(今回はサムネイルの構図)以外は、できるだけ条件を揃える」ということです。動画の内容、BGM、キャプション、投稿時間などをなるべく同じにすることで、より純粋なテスト結果を得ることができます。
Check(評価):この記事で解説した方法で、結果を冷静に分析する
投稿してデータが集まったら、再び「評価(Check)」のフェーズです。
これは、前の章で解説した通りですね。「バリエーション」タブを開き、あなたが設定した目的に合わせて「リーチ数」や「エンゲージメント数」などの指標を冷静に、客観的に分析します。
ここでは、「こっちのサムネの方がお気に入りだったのに…」といった感情は一旦横に置いて、ただ数字という事実だけを見ることが大切です。
Action(改善):分かった「勝ちパターン」を言語化し、アカウントのルールにする
そして、PDCAサイクルで最も重要で、最も多くの人がサボりがちなのが、この最後の「改善(Action)」です。
例えば、今回のテストで、
【結果(C)】:『人物アップのサムネ』の方が『引きの風景サムネ』よりも、プロフィールへのアクセス数が2倍になった。
という素晴らしいデータが取れたとします。
ここで、「へぇー、そうなんだ」で終わらせてはいけません。この結果を、あなたのアカウントだけの「ルール(勝ちパターン)」に昇格させるのです。
【改善(A)】:「今後のリールのサムネイルは、原則として『ターゲットが共感できる人物の、表情がハッキリと分かるアップの写真を使う』というルールにしよう」
このように、テストで分かったことを言語化し、自分だけの投稿マニュアルを作っていく。この「改善(Action)」を繰り返すことで、あなたの投稿クオリティは安定し、再現性を持ってリールを伸ばせるようになっていきます。
テストと分析を「継続」するための、たった一つのコツ
ここまで読んで、「PDCA、大事なのは分かったけど、続けるのが大変そう…」と感じたかもしれませんね。僕もそうなんですが、完璧な計画を立てようとすると、逆にプレッシャーで動けなくなってしまうことがあります。
そこで最後に、この地道なテストと分析を「継続」していくための、たった一つの、でも最も重要なコツをお伝えします。
完璧を目指さない。「1つのテストで、1つの学び」があれば大成功
継続のコツ、それは「完璧を目指さないこと」です。
一度にサムネイルとキャプションとBGMを全部テストしよう…なんて考える必要はありません。そんなことをしたら、どの要素が良かったのか分からなくなってしまいます。
まずは「1つの投稿では、1つのことしかテストしない」と決めてしまいましょう。そして、その結果から「1つの学び」が得られれば、そのテストは大成功です。「今回は、問いかけ型のキャプションの方が反応が良いと分かったぞ」これだけで十分、大きな前進です。この小さな成功体験を積み重ねることが、継続の秘訣です。
テスト結果はスプレッドシートなどで簡単に記録しよう
「1つの学び」を忘れないために、ぜひやってほしいのが「テスト結果の記録」です。僕のような忘れっぽい人間には、これが命綱になります。
難しく考える必要はありません。GoogleスプレッドシートやExcelに、以下のような簡単な表を作るだけでOKです。
日付 | 投稿内容 | テストしたこと(仮説) | 勝ったのは? | 分かったこと(学び) |
---|---|---|---|---|
7/27 | 節約術 | キャプション:結論vs問いかけ | B(問いかけ) | 問いかけ型の方がコメントが付きやすい |
7/29 | 副業紹介 | サムネ:人物アップvs引き | A(アップ) | 人物の表情が分かる方がクリックされる |
こうして記録しておくことで、あなただけの「勝ちパターン集」が出来上がっていきます。これは、どんな高価な教材にも載っていない、あなたのビジネスにとって最高の財産になります。
継続こそが、あなただけの「必勝法」を作る唯一の道
結局のところ、Instagram運用に「これをやれば絶対バズる」という魔法の杖はありません。あるのは、地道な「テストと改善」の繰り返しだけです。
しかし、それを継続できた人だけが、自分だけのアカウントの「必勝法」を手に入れることができます。データは嘘をつきません。一回一回のテストを信じて、コツコツと続けていきましょう。
【まとめ】
お疲れ様でした!3記事にわたる「トライアルリール」の解説も、これで完結です。
最後に、この記事の要点を簡単におさらいしましょう。
- 結果の確認方法:リールの「インサイト」→「バリエーション」タブで確認する。
- 分析すべき指標:「リーチ数」「エンゲージメント」「プロフィールアクセス数」を、テストの目的に合わせて見る。
- 改善の方法:PDCAサイクルを回し、テスト結果から学んだことを「アカウントのルール」にする。
- 継続のコツ:完璧を目指さず「1テスト1学び」を意識し、簡単な記録をつけること。
データ分析と聞くと、多くの人が「難しそう」「面倒くさい」と感じてしまいます。でも、僕はこう思うようにしています。これは、あなたのフォロワーからの「声なき声」を聞く作業なのだと。
クリック、いいね、保存、フォロー。その一つ一つの行動の裏には、ユーザーの「これが好き」「これは要らない」という本音が隠されています。データと向き合うことは、その本音と真摯に向き合うことなのです。
僕のような忘れっぽく、注意散漫な人間でも、記録と改善をひたすら繰り返すことで、なんとか前に進むことができました。この記事が、あなたのデータ活用の第一歩を踏み出す、小さなきっかけになれば嬉しいです。