IPA試験(基本情報技術者試験・応用情報技術者試験・高度区分)では、ネットワーク分野の理解が欠かせません。その中でも特にipconfig・nslookup・arpといったコマンドは、実務でも試験でも頻出の重要テーマです。
本記事では、IPA試験で問われやすい代表的なネットワークコマンドを一覧でまとめ、それぞれの用途や出題例を解説します。午前試験の用語理解から午後試験のトラブルシュート問題まで役立つ内容を整理しましたので、ぜひ学習にご活用ください。
目次
IPA試験でネットワークコマンドが問われる理由
IPA試験でネットワークコマンドが出題されるのは、単なる暗記問題ではなく実務的なトラブルシュート力を測る狙いがあるからです。ネットワーク障害が発生した際に、状況を切り分けるための最初の手がかりとなるのがこれらのコマンドです。
- 午前試験:コマンド名や用途を理解しているかを確認
- 午後試験:実際の出力例を読み取り、原因を推定できるかを確認
たとえば「DHCPでIPアドレスを再取得するのはどのコマンドか?」「ICMPを使うのはどのコマンドか?」といった基本的な知識が午前試験で問われます。一方午後試験では、ipconfigの出力を見てデフォルトゲートウェイが未設定であることに気づけるかなど、実務に近い出題形式になります。
基本から押さえるべきネットワークコマンド一覧
ここからは、IPA試験で出題されやすい代表的なネットワークコマンドを用途・特徴・出題例とあわせて解説します。試験勉強の際は「コマンド名+役割」をペアで覚えておくと効率的です。
ipconfig(Windows環境)
用途: ネットワークインターフェースの設定を表示・更新する。
IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーの情報を確認可能。
ipconfig
:基本情報を表示ipconfig /all
:MACアドレスやDHCPの状態など詳細を表示ipconfig /release
:DHCPアドレスを解放ipconfig /renew
:DHCPサーバーからIPアドレスを再取得ipconfig /flushdns
:DNSキャッシュを削除
出題例:「DHCPでIPアドレスを再取得するコマンドはどれか?」→ ipconfig /renew
ifconfig(Linux環境)
用途: ネットワークインターフェースの設定を表示・変更する。
現在は ip addr show
が主流だが、IPA試験では依然として ifconfig が出題されることがある。
出題例:「Linux環境で現在のIPアドレスやMACアドレスを確認するコマンドはどれか?」→ ifconfig
ping
用途: ICMP Echoを利用し、相手ホストが通信可能かを確認する。疎通確認の基本コマンド。
- 応答時間(遅延)を確認可能
- パケットロスの有無を確認できる
- ただしICMPを拒否しているサーバでは応答がない場合もある
出題例:「ICMPを利用して相手ホストとの疎通確認を行うコマンドはどれか?」→ ping
tracert(Windows)/ traceroute(Linux)
用途: 宛先までの通信経路を確認する。途中経路(ルータ)のIPアドレスを順に表示できる。
- TTL値を徐々に増やすことで経路を確認する仕組み
- ネットワーク障害の発生箇所を切り分け可能
出題例:「宛先サーバへ接続できないとき、経路上のどこで問題が発生しているかを確認するのに適切なコマンドはどれか?」→ tracert
または traceroute
nslookup
用途: DNSサーバに問い合わせを行い、ドメイン名からIPアドレスを調べる、または逆引きを行う。名前解決トラブルの確認に必須。
nslookup www.example.com
:ドメイン名からIPを確認nslookup 192.168.1.1
:逆引きでドメイン名を確認
出題例:「DNSサーバに問い合わせ、名前解決を確認できるコマンドはどれか?」→ nslookup
dig(Linux環境)
用途: DNSレコードの詳細を調べられる高機能なコマンド。nslookup
より詳細な出力を確認可能。
dig A example.com
:Aレコードを確認dig MX example.com
:メールサーバ(MXレコード)を確認
出題例(高度試験):「DNSサーバに対し、MXレコードを問い合わせるコマンドはどれか?」→ dig MX
arp
用途: IPアドレスとMACアドレスの対応関係(ARPテーブル)を表示する。
通信障害時にL2とL3の関係を確認する際に利用される。
arp -a
:現在のARPテーブルを表示
出題例:「IPアドレスとMACアドレスの対応を確認できるコマンドはどれか?」→ arp
netstat
用途: 現在の通信状態やポートの使用状況を表示する。
どのアプリケーションがどのポートで待ち受けているか確認可能。
netstat -an
:全てのポート状態を数値で表示netstat -r
:ルーティングテーブルを表示
出題例:「現在TCPポート80でLISTENしているプロセスを確認するコマンドはどれか?」→ netstat -an
route
用途: ルーティングテーブルを表示・編集するコマンド。どの宛先に対してどのゲートウェイを経由するか確認可能。
route print
(Windows):ルーティングテーブルを表示route -n
(Linux):数値でルーティングテーブルを表示
出題例:「デフォルトゲートウェイが設定されていないことを確認するために利用するコマンドはどれか?」→ route
telnet
用途: 指定したホストの特定ポートに接続し、応答を確認できる。主にTCPサービスの稼働確認に利用される。
telnet mail.example.com 25
:SMTPサーバが応答するか確認
出題例:「SMTPサーバ(25番ポート)の応答確認に利用できるコマンドはどれか?」→ telnet
curl / wget
用途: HTTP/HTTPSリクエストを送信し、Webサーバの応答を取得する。APIやWebサービスの確認にも使われる。
curl http://example.com
:HTTPレスポンスを表示wget http://example.com
:指定したファイルを取得
出題例:「Webサーバの応答を直接確認するためのコマンドはどれか?」→ curl
または wget
まとめ
本記事では、IPA試験における代表的なネットワークコマンド(ipconfig
・nslookup
・arp
など)を一覧で解説しました。
- 午前試験対策: コマンド名と用途をペアで暗記する
- 午後試験対策: 出力例を見てトラブルの原因を推定する練習を行う
- 効率的な学習法: 疎通確認・経路確認・名前解決・状態確認というグループに分けて整理
これらのコマンドは試験対策だけでなく、実務のトラブルシュートにも直結します。ぜひ実際に手を動かして実行し、出力例に慣れておくことで理解を深めてください。
まとめ
IPA試験で頻出のネットワークコマンドについて、用途・特徴・出題例を整理しました。実務のトラブルシュートと直結する内容なので、暗記だけでなく実際に動作を確認して理解を深めておくことが重要です。
コマンド | 主な用途 | 出題ポイント |
---|---|---|
ipconfig | IP・DNS設定の確認、DHCP更新 | renew / flushdns の意味 |
ifconfig | Linuxでのネットワーク設定確認 | IP・MAC確認 |
ping | 疎通確認(ICMP利用) | 生死確認、遅延測定 |
tracert / traceroute | 通信経路の確認 | TTLを利用した経路調査 |
nslookup | DNS問い合わせ | 名前解決の確認 |
dig | DNSレコード詳細確認 | A / MX / NS レコード |
arp | IPとMACの対応確認 | データリンク層の確認 |
netstat | 通信状態やポート確認 | LISTEN / ESTABLISHED の識別 |
route | ルーティングテーブル確認 | デフォルトゲートウェイ有無 |
telnet | 特定ポートの疎通確認 | SMTPなどの動作確認 |
curl / wget | Webサーバの応答確認 | HTTP/HTTPSでの疎通確認 |
午前試験では「コマンド名と用途のペア暗記」が中心、午後試験では「出力例を読んで原因を推定する力」が求められます。実際にコマンドを打ち込んで動作確認することで、知識を確実に定着させましょう。