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仕事で浮かないユニクロコーデ|営業・内勤・IT別に“正解ライン”を解説

ビジネスカジュアルの普及に伴い、「仕事着はユニクロで十分」と考える人は増えていますが、同時に「どこまで崩していいのかわからない」という悩みも深刻です。特に営業職と内勤、IT職では求められる「正解」が大きく異なり、同じユニクロのアイテムでも、組み合わせ次第で「仕事ができる人」にも「だらしない人」にも見えてしまいます。

SNS上の議論やビジネスファッションのガイドラインを紐解くと、失敗しないための鍵は「職種ごとのフォーマル度の理解」にあることがわかります。本記事では、職種別の適切なラインを整理し、ユニクロアイテムを使った具体的なコーディネート例を解説します。

職種別にみる“求められるフォーマル度”

「ユニクロを仕事で着る」こと自体は、現代のビジネスシーンにおいて広く受け入れられています。しかし、重要なのは「どのアイテムを選ぶか」ではなく、「相手にどう見られるか」という視点です。職種によって、相手が期待する清潔感や信頼感のレベルは異なります。まずは自分の職種がどの基準に当てはまるかを確認しましょう。

営業(外回り・商談あり)

社外の人と接する機会が多い営業職において、最優先されるべきは「信頼感」です。ここでは、相手に不快感を与えないこと、そして「この人なら仕事を任せても大丈夫だ」と感じさせる服装が求められます。

一般的に、営業職のビジネスカジュアルでは「ジャケット着用」が基本とされるケースが大半です。たとえクールビズ期間であっても、手元にジャケットがあるだけで安心感につながります。ユニクロのアイテムを取り入れる際も、Tシャツ単体などのラフなスタイルは避け、襟付きのシャツやポロシャツを選び、スラックス見えするパンツを合わせるのが鉄則です。「動きやすさ」よりも「きちんとして見えるか」を優先するラインです。

内勤・事務(来客少なめ)

社内での業務が中心で、突発的な来客対応の可能性がある内勤・事務職の場合、求められるのは「社内の調和」と「実務的な清潔感」です。営業職ほどカッチリする必要はありませんが、周囲から浮かない程度の節度が求められます。

この層に最適なのは「スマートカジュアル」と呼ばれるゾーンです。例えば、ポロシャツやニット、チノパンなどが許容範囲に入ります。ただし、ジーンズやパーカーといった「完全な休日着」は、企業風土によってはNGとされることが多いため注意が必要です。長時間座って作業をしても疲れにくく、かつ上司や他部署の人と話しても失礼にならないバランスが重要視されます。

IT・クリエイティブ(かなり自由)

ITエンジニアやクリエイティブ職の場合、服装の自由度は比較的高く設定されている傾向にあります。個人のパフォーマンスを最大化するための「機能性」や「自由な発想」が重視されるためです。

しかし、ここでの落とし穴は「自由=何でもあり」と解釈してしまうこと。あくまでビジネスの場である以上、最低限の「清潔感」は必須です。例えば、首元がヨレたTシャツや、ダメージの入ったジーンズは、どれだけスキルが高くても「だらしない」という印象を与えかねません。この職種における正解は「クリーンカジュアル」。シンプルで無駄のないデザインを選び、清潔感を保つことが、プロフェッショナルとしての信頼につながります。

職種別|ユニクロで作る最適ビジネスカジュアル

前項の基準を踏まえ、具体的にユニクロのどのアイテムを選べば「正解」にたどり着けるのかを解説します。ユニクロは商品数が膨大ですが、ビジネスで使える「名品」は限られています。これらを適切に組み合わせることで、コストを抑えつつ、高見えするスタイルを作ることが可能です。

営業向け(きれいめ重視)

営業職におすすめなのは、ユニクロのビジネスラインとして定評のある「感動シリーズ」を活用したセットアップスタイルです。

  • トップス: 「スーパーノンアイロンシャツ」や「ファインクロスシャツ」など、ドレスシャツに近い質感のものを選びます。夏場であれば、台襟(襟の土台部分)がしっかりした「エアリズムポロシャツ(フルオープン)」も有効です。
  • アウター: 「感動ジャケット」が鉄板です。ウールライク(羊毛風)の素材を選ぶと、ポリエステル特有の安っぽさが消え、スーツに近い印象を与えられます。
  • ボトムス: ジャケットと対になる「感動パンツ(ウールライク)」。センタープレス(中央の折り目)が入っているため、立ち姿が綺麗に見え、顧客対応にも耐えうるフォーマルさを確保できます。

この組み合わせは、見た目はスーツですが、ストレッチ性があり自宅で洗濯も可能という機能性を兼ね備えています。「きちんと感」を最優先したい営業マンにとって、最もリスクの少ない選択肢と言えるでしょう。

内勤向け(シンプル重視)

内勤職には、少しリラックス感を取り入れつつ、オフィスの雰囲気を壊さないアイテム選びが推奨されます。

  • トップス: 「エクストラファインメリノ」シリーズのニットやカーディガンが優秀です。シャツの上から羽織るだけで上品に見えますし、Tシャツの上に重ね着すれば、カジュアルさを中和できます。
  • ボトムス: 「スマートアンクルパンツ」が最適解です。ウエストがゴム仕様で座り仕事でも苦しくなく、それでいてスラックスのように見えるデザインです。足首が見える丈感は軽快な印象を与え、オフィスカジュアルの定番として多くの支持を集めています。

このスタイルのメリットは、着心地が楽でありながら「仕事モード」を維持できる点です。急な社内ミーティングでも、ジャケットなしで十分対応可能な清潔感をキープできます。

IT向け(カジュアル寄り)

自由度の高いIT職では、シンプルでノイズのないアイテムを選ぶことで、洗練された印象を作ります。

  • トップス: 「エアリズムコットンオーバーサイズTシャツ」のような、表面に光沢感のあるTシャツを選びます。ただし、ロゴやプリントが入ったものは避け、無地(白・黒・ネイビー)を徹底しましょう。寒暖差対策には、シンプルな「スウェットカーディガン」や、襟のないタイプの羽織りがマッチします。
  • ボトムス: 「セルビッジジーンズ」や「チノパンツ」も選択肢に入りますが、色は濃紺(インディゴ)や黒を選ぶのがマナーです。色落ちが激しいものやダメージ加工は避け、きれいめな状態を保つことが、IT職における「大人の身だしなみ」です。

IT職の場合、「服に気を使っていないように見えて、実は清潔感がある」というバランスが好印象につながります。ユニクロのベーシックなアイテムを、サイズ感を間違えずに着ることが最大のポイントです。

ユニクロでよくある“職種別NG例”

ユニクロは優秀なアイテムが多い反面、選び方を間違えると「休日のお父さん」や「学生気分」といったマイナスイメージに直結しがちです。ここでは、職種ごとの致命的なNGパターンを挙げます。「これさえ避ければ及第点」というラインを押さえましょう。

営業でラフすぎるNG例

営業職における最大の失敗は、「相手への敬意」が感じられない服装です。

  • ポロシャツの裾出し: ビジネスシーンでのポロシャツは「タックイン(裾をズボンに入れる)」が基本です。ユニクロのポロシャツは着丈が長めに作られているものが多く、裾を出すと胴長に見え、だらしない印象になります。
  • スニーカーのような革靴: 歩きやすさを重視するあまり、ボロボロに使い込んだウォーキングシューズのような靴を合わせるのはNGです。スーツ見えする服装には、最低でも「プレーントゥ」や「ローファー」といった、革靴の形状をしたものを選びましょう。

内勤で地味すぎるNG例

内勤でやりがちなのは、「楽さを追求しすぎて、部屋着に見える」パターンです。

  • フリースジャケットの着用: ユニクロの代名詞でもあるフリースですが、オフィスでの着用は避けるべきです。カジュアル度が極端に高く、どれだけ新しいものでも「防寒着=屋外や自宅用」というイメージが強いため、仕事着としては不適切です。
  • ヨレヨレのネルシャツ: チェック柄のフランネルシャツは、温かみがありますが、ビジネスでは「子供っぽい」「野暮ったい」と見られがちです。柄物を取り入れるなら、細いストライプや目立たないチェックにとどめましょう。

ITで清潔感不足のNG例

服装自由なIT業界でも、「不潔に見える」のはビジネスマンとしてアウトです。

  • 首元がダルダルのTシャツ: 何度も洗濯して首元が波打っているTシャツは、どんなに高価なPCを使っていても信頼を損ないます。ユニクロの「クルーネックT」などは耐久性が高いですが、消耗品と割り切り、定期的な買い替えが必要です。
  • ダメージジーンズ: ファッションとしてのダメージ加工は素敵ですが、仕事の場では「破れた服」というノイズにしかなりません。特にクライアントとのweb会議などで画面越しに見えた際、悪目立ちする可能性があります。

ユニクロのアイテムを格上げする小技

「全身ユニクロでも、なぜか高く見える人」がいます。その違いは、高価なアイテムを使っているかどうかではなく、細部の「整え方」にあります。誰でも今日から実践できる、ユニクロをビジネス仕様に格上げするテクニックを紹介します。

アイロン/シワ対策

ユニクロの「ノンアイロンシャツ」は優秀ですが、洗濯後に放置すれば多少のシワはつきます。また、コットンのパンツやジャケットは、座りジワが目立ちやすいものです。

  • ポイント: 週末にまとめてアイロンをかけるか、衣類スチーマーを活用しましょう。特に「襟」「袖口」「パンツのセンタープレス」の3点がピシッとしているだけで、全体の価格帯がワンランク上に見えます。

靴とバッグでフォーマル度を調整

「服は消耗品(ユニクロ)、小物は投資(良質なもの)」というルールを持つのが賢い戦略です。

  • 靴: 合皮ではなく本革の靴を磨いて履くことで、全体のコーディネートが引き締まります。足元がしっかりしていれば、トップスがTシャツでも「あえて着崩している」という演出に見えます。
  • バッグ: ナイロンのペラペラなリュックではなく、レザー見えするトートバッグや、自立するしっかりしたビジネスリュックを選びましょう。ユニクロの服はシンプルなので、小物の存在感が際立ちます。

色のまとめ方

コーディネートにおける「色数」を絞ることは、最も簡単な高見えテクニックです。

  • 3色ルール: 全身を「ネイビー・白・黒(またはグレー)」の3色以内で構成します。例えば、「ネイビーのジャケット+白シャツ+グレーのパンツ」。この基本色だけでまとめると、統一感が生まれ、洗練された印象になります。原色や派手なロゴは、ノイズになるため徹底して排除するのが無難です。

職場のドレスコードを見極めるチェックリスト

最後に、自分の職場における「正解ライン」を自分で判断するための視点を紹介します。迷ったときは、以下の3つの基準でチェックしてください。

上司を見る

最も確実な基準は、直属の上司や、社内で評価されている先輩の服装です。彼らがジャケットを着ているなら、自分も着るべきです。彼らがTシャツなら、自分もそれに準じて問題ありません。「評価される人」の真似をすることは、組織内で浮かないための最短ルートです。

クライアントへの距離

その日の予定に「社外の人と会う(対面・オンライン含む)」が含まれているかを確認します。相手がスーツを着てくる可能性があるなら、こちらもジャケットを用意するのが礼儀です。逆に、一日中自席で作業する日なら、リラックスした服装でも許容されるでしょう。

社内イベント・会議・訪問時の基準

「今日は役員が出席する会議がある」「他社への訪問がある」といった特別な日は、普段より一段階フォーマル度を上げます。普段はポロシャツでも、この日だけはシャツとジャケットにする。この「使い分け」ができることこそが、ビジネスマンとしてのTPOリテラシーです。

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