「オフィスカジュアル可」と言われても、具体的にどこまで崩していいのか、何が正解なのか迷うという声は非常に多く聞かれます。スーツほど堅苦しくなく、かといってプライベートのようなラフさでは信頼を損なう——この絶妙なラインを見極めるのは容易ではありません。
特に20代から30代のキャリア形成期において、服装は「仕事への姿勢」を無言で語る重要なツールです。清潔感があり、かつ合理的で動きやすいスタイルを確立することは、日々の業務パフォーマンスや周囲からの評価にも直結します。
そこで本稿では、セレクトショップの中でも「都会的で洗練されたベーシック」に定評がある『アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)』を活用した、失敗しないビジネスカジュアル術を解説します。なぜ同ブランドがビジネスパーソンに選ばれるのか、その理由と具体的な選び方を整理していきます。
目次
アーバンリサーチが“ビジネスカジュアル”に最適な理由
数あるセレクトショップの中で、なぜアーバンリサーチがビジネスカジュアルの最適解の一つとされるのでしょうか。その背景には、日本のビジネスシーンに馴染むデザイン哲学と、ラインナップの明確な使い分けが可能であることが挙げられます。
アーバンリサーチの「きれいめ」路線がオフィスで好印象な理由
アーバンリサーチの最大の特徴は、「カジュアルでありながら品がある(きれいめ)」というデザインバランスです。トレンドを取り入れつつも奇抜すぎないデザインは、ビジネスシーンで求められる「安心感」と「清潔感」を両立させやすい傾向にあります。
一般的なアパレルブランドでは、流行を追うあまりシルエットが極端にオーバーサイズであったり、装飾が過多であったりすることがありますが、アーバンリサーチは「都市生活(アーバンライフ)」をテーマにしているため、街やオフィスに馴染む洗練さがベースにあります。これにより、以下のメリットが生まれます。
- 汎用性の高さ: オフの日だけでなく、ジャケットを羽織ればそのまま会議に出られる汎用性がある。
- 素材へのこだわり: 化学繊維特有の安っぽさを抑え、質感の良い素材を使用しているため、相手に信頼感を与えやすい。
- サイズ感の妙: 日本人の体型に合った、だらしなく見えない適度なスリムさが確保されている。
ライン別に見る“通勤向け”度チェック(UR・DOORS・ROSSO)
一口に「アーバンリサーチ」といっても、複数の派生ラインが存在します。それぞれの特徴を理解し、職場の雰囲気や自身の年齢に合わせて選ぶことが重要です。主要な3ラインの特徴を整理します。
| ライン名 | 特徴・印象 | おすすめの着用シーン |
|---|---|---|
| URBAN RESEARCH | 【都会的・万能】 トレンドとベーシックのバランスが良い旗艦ライン。シャープで洗練された印象。 |
クライアント訪問、社内会議、一般的なオフィスワーク全般 |
| DOORS | 【親しみ・快適】 「着心地」や「暮らし」を重視。ナチュラルで柔らかい素材感が多い。 |
内勤中心の日、カジュアルフライデー、リラックスした社風 |
| ROSSO | 【艶感・大人】 ドレッシーで上質な素材使いが特徴。30代以上の落ち着きや色気を演出。 |
重要な商談、会食、プレゼン、役職者の普段着 |
このように、自分の職場のドレスコード(堅めなのか、緩めなのか)に合わせて、どのラインを中心に探すべきかの当たりをつけやすい点も、多忙なビジネスパーソンにとって合理的な選択肢となります。
ビジネスカジュアルの基本ルールとアーバンリサーチでの選び方
アイテムを選ぶ前に、ビジネスカジュアルにおける「絶対に外してはいけない基本ルール」を押さえておく必要があります。これらを守った上でアーバンリサーチのアイテムを取り入れることが、成功への近道です。
ビジカジ3原則「清潔・控えめ・サイズ感」
ビジネスウェアにおいて最も優先すべきは「相手に不快感を与えないこと」です。以下の3原則は、どのブランドを選ぶ際にも共通する必須条件です。
- 清潔感(Cleanliness):
シワ、汚れ、ヨレがないことは大前提です。特に襟元や袖口の汚れ、パンツのプレスが取れていない状態はマイナス評価に直結します。 - 控えめ(Modesty):
派手な色や柄、過度な露出は避けます。主役はあくまで「仕事」であり、服装はそれを阻害しない黒子であるべきです。ベーシックカラー(ネイビー、グレー、白、黒、ベージュ)を中心に構成します。 - サイズ感(Fitting):
最も重要なのがサイズ感です。大きすぎれば「だらしない」、小さすぎれば「窮屈そう」に見えます。「ジャストサイズ」を選ぶことが、最もスマートに見える秘訣です。
失敗しないアイテム選びのポイント
アーバンリサーチでアイテムを選ぶ際は、上記の原則を踏まえつつ、以下の「機能性」と「定番品」に注目すると失敗が少なくなります。
- 機能性セットアップの活用:
アーバンリサーチでは、毎シーズン「高機能素材(ストレッチ、防シワ、ウォッシャブルなど)」を用いたセットアップが展開されています。これらは見た目がウールライクで上品でありながら、手入れが楽で動きやすいため、多忙なビジネスマンに最適です。 - ニット・カットソーの選び方:
ジャケットのインナーには、ロゴのない無地のものを選択します。特にハイゲージ(編み目が細かい)のニットや、光沢感のあるスムース素材のTシャツは、ジャケットとの相性が良く、上品さを損ないません。 - チノパン・スラックスのシルエット:
「テーパード(裾に向かって細くなる)」シルエットを選ぶのが鉄則です。足元がすっきり見えるため、スニーカーを合わせても革靴を合わせてもバランス良くまとまります。アーバンリサーチのパンツは日本人の体型に合わせたテーパードが得意なため、試着して自身の体型に合う一本を見つけておくのが賢明です。
シーン別おすすめコーデ(通勤・初出社・商談・休日兼用)
ビジネスカジュアルの難しさは、TPO(時・場所・場合)によって「正解」が変動する点にあります。常に同じ服装ではなく、その日の予定や会う相手に合わせて微調整できることが、スマートなビジネスパーソンの条件です。アーバンリサーチのアイテムを活用した、シーン別の具体的コーディネート例を紹介します。
通勤・商談で印象アップする王道セットアップ
重要な商談やプレゼン、あるいは初対面のクライアントとの打ち合わせがある日は、信頼感を最優先する必要があります。
- 要点: 上下揃いの「セットアップ」を基本とし、インナーには襟付きのシャツを合わせるスタイルです。
- 根拠: スーツに近い視覚効果があり、相手に「礼儀をわきまえている」という安心感を与えます。心理学的にも、整った服装は「能力が高い」というハロー効果を生みやすいとされています。
- 具体例: アーバンリサーチが得意とする「ネイビー」や「チャコールグレー」の機能性セットアップ(SOLOTEX素材など)を選択します。インナーは白、またはサックスブルーのシャツ。足元は黒またはダークブラウンの革靴で引き締めます。
- 注意点: セットアップとはいえ、素材がカジュアルすぎる(コットンのシワ加工など)ものは、厳格なビジネスシーンでは避けたほうが無難です。光沢感のある化学繊維混紡や、ウールライクな素材を選びましょう。
- まとめ: 「迷ったらセットアップ」が鉄則です。ここぞという場面では、あえて崩さず、王道を貫くことが信頼獲得への近道です。
初出社・社内イベントで使える抜け感コーデ
転職後の初出社や、社内の懇親会、カジュアルフライデーなど、「堅すぎず、でもちゃんとしていたい」場面に適したスタイルです。
- 要点: 「ジャケパン(ジャケット+パンツ)」スタイルで、インナーや素材感で少し柔らかさを出します。
- 根拠: 全身キメすぎたスーツスタイルでは、周囲に「壁」を感じさせてしまうことがあります。適度なカジュアルダウンは、親しみやすさ(親和性)を高め、コミュニケーションを円滑にする効果が期待できます。
- 具体例: DOORSラインのような、少しナチュラルな風合いのジャケットに、インナーは清潔感のあるハイゲージニットや、上質なカットソーを合わせます。ボトムスはベージュやグレーのチノパンで明るさをプラスすると、話しかけやすい雰囲気になります。
- 注意点: インナーにTシャツを合わせる場合、首元がヨレているものは厳禁です。ジャケットの襟に皮脂汚れがつかないよう、クルーネックの開き具合にも注意が必要です。
- まとめ: 「親しみやすさ」と「だらしなさ」は紙一重です。アイテムをカジュアルにする分、サイズ感や汚れの有無には一層気を配る必要があります。
休日も兼用できるカジュアルダウン術
ミニマリスト志向や合理性を重視する層にとって、オンオフ兼用できるアイテム選びは重要です。
- 要点: ビジネス用のアイテムを「単品使い」して、休日のリラックススタイルに転用します。
- 根拠: ビジネスカジュアル用のアイテムはベーシックなデザインが多いため、組み合わせ次第で休日のきれいめコーデとして十分に機能します。衣服の総数を減らし、コストパフォーマンスを高めることができます。
- 具体例: 平日着用しているセットアップの「パンツ」だけを使い、トップスにパーカーやカジュアルなチェックシャツを合わせます。逆に、ジャケットをデニム(リジットなど濃い色)に合わせるスタイルも定番です。アーバンリサーチのアイテムはシルエットが現代的なので、休日着としても野暮ったくなりません。
- 注意点: ビジネス感が強すぎるアイテム(センタープレスの効きすぎたスラックスや、光沢の強いドレスシャツ)は、カジュアルアイテムと合わせるとチグハグに見えることがあります。マットな質感のものを選ぶと兼用しやすくなります。
- まとめ: 着回しを前提に購入する際は、「単品で着ても違和感がないか」を試着時に確認することが、賢い買い物のポイントです。
年代別おすすめスタイル|20代・30代で差をつけるビジカジ
年齢やキャリアのステージによって、周囲が求める印象や似合うスタイルは変化します。年代ごとの強みを活かし、弱点をカバーするスタイリング方針を整理します。
20代は「清潔感×フレッシュさ」で勝負
若手社員やキャリアの初期段階にある20代にとって、最も重要な武器は「清潔感」と「フレッシュな意欲」です。
- 要点: 明るめのトーンや、ハリのある素材を選び、若々しさと機動力をアピールします。
- 根拠: 過度に重厚なスタイルや高級すぎるブランド品は、「生意気」「背伸びしている」と受け取られるリスクがあります。爽やかさを前面に出すことで、素直さや仕事への前向きな姿勢を印象づけることができます。
- 具体例: ネイビーのジャケットに、パキッとした白のパンツやインナーを合わせるマリンテイストなど、コントラストの効いた配色は好印象です。アーバンリサーチの「Sonny Label」や「URBAN RESEARCH」のカジュアルラインなど、動きやすさとトレンド感を備えたアイテムがマッチします。
- 注意点: オーバーサイズ(ビッグシルエット)は流行していますが、ビジネスシーンでは「だらしない」と見なされる境界線に注意が必要です。あくまで「ジャストサイズ~ややゆとり」程度に留めましょう。
- まとめ: 20代は「シンプルイズベスト」。奇をてらわず、サイズ感の合った清潔な服を着ることが、最も高い評価につながります。
30代は「余裕×質感」で大人の雰囲気を演出
リーダー職や中堅としての責任が増える30代には、落ち着きと信頼感が求められます。また、体型の変化も気になり始める時期です。
- 要点: 素材の「質」にこだわり、ダークトーンやアースカラーを取り入れて「大人の余裕」を演出します。
- 根拠: 安価な化学繊維のペラペラした生地は、年齢とともにチープに見えてしまうことがあります。質感の良い服を身につけることは、自身のプロフェッショナルとしての自信を裏打ちし、対外的な説得力を高めます。
- 具体例: ROSSOラインのような、ウール混の上質なジャケットや、深みのあるブラウン、カーキなどを差し色に使ったコーディネートが似合います。体型カバーのために、お腹周りに少しゆとりのあるテーパードパンツを選ぶのも合理的です。
- 注意点: 「楽だから」といって、ウエストゴムが見えるような着こなしや、全体的にゆるすぎるシルエットは「おじさん化」を加速させます。楽な着心地でも、見た目が引き締まっているアイテムを選ぶ選球眼が必要です。
- まとめ: 30代のビジカジは「量より質」。少ない枚数でも、袖を通すだけで背筋が伸びるような、良質なアイテムへの投資がキャリアにプラスに働きます。
アーバンリサーチのライン別おすすめアイテム(UR・DOORS・ROSSO)
前述の通り、アーバンリサーチにはターゲットやテイストの異なる複数のラインが存在します。各ラインの「強み」を理解し、自分の目指すスタイルに合ったアイテムを選ぶことが、満足度の高い買い物につながります。ここでは主要3ラインの具体的な特徴と選び方を解説します。
URBAN RESEARCH(本ライン)|都会的で万能
ブランド名を冠するメインラインであり、最もトレンド感とベーシックのバランスが取れています。
- 特徴:
「DESIGN YOUR LIFE STYLE」をテーマに、様々な都市をリサーチしてカジュアルテイストを提案。適度なモード感があり、シルエットが現代的(細身すぎず、太すぎず)です。 - おすすめアイテム:
「機能性セットアップ」
毎シーズン展開される、SOLOTEXなどの高機能素材を用いたセットアップは定番です。伸縮性、撥水性などに優れ、自転車通勤やアクティブなビジネスマンから高い支持を得ています。 - 価格帯イメージ:
ジャケット:1.8万~2.5万円前後 / パンツ:1.1万~1.5万円前後
DOORS|柔らかく親しみやすい印象
「着る・食べる・住む」という生活全般を提案するラインで、ナチュラルで優しい雰囲気が特徴です。
- 特徴:
素材の風合いを重視しており、リネン混やコットンライクな生地が多く見られます。また、オリジナルレーベル「LIFE STYLE TAILOR」では、ビジネスシーンに特化したスーツやシャツも展開しており、実はビジネス需要に強いラインでもあります。 - おすすめアイテム:
「LIFE STYLE TAILORのニット・シャツ」
ビジネス専用に設計されているため、サイズ感が非常にスタンダード。オフィスカジュアル初心者でも失敗しにくい「普通の良さ」があります。 - 価格帯イメージ:
ジャケット:1.5万~2.2万円前後 / パンツ:0.9万~1.3万円前後
ROSSO|上質感・きれいめ特化で30代以上向け
「SHOW WINDOW」をテーマに、華やかさと艶っぽさを提案するライン。セレクトショップ本来の「良いものを提案する」姿勢が強く出ています。
- 特徴:
イタリアンテイストを意識したような、色気のあるデザインや高級感のある生地選びが特徴です。他のラインに比べてドレッシーな要素が強いため、ここぞという勝負服や、役職者にふさわしい風格を出すのに適しています。 - おすすめアイテム:
「ウールライクなジャケット・コート」
化学繊維であっても、一見すると天然ウールに見えるような高級感のある生地を使用していることが多く、高見えします。チェスターコートなどのアウター類もシルエットが美しいと定評があります。 - 価格帯イメージ:
ジャケット:2.2万~3.5万円前後 / パンツ:1.3万~1.8万円前後
ビジネスカジュアルコーデを格上げする小物・靴選び
服が決まっても、小物選びで気を抜くと全体の印象が台無しになります。逆に言えば、小物を整えるだけで、ユニクロやファストファッションを混ぜたコーデでも「高見え」させることが可能です。
シューズ・バッグ選びで「デキる感」を出すコツ
ビジネススタイルの末端(足元・手元)は、視線が止まりやすいため特に重要です。
- シューズ:
スニーカー通勤可の場合でも、派手なハイテクスニーカーは避けます。
- レザースニーカー: 白や黒のシンプルなレザー素材。ロゴが目立たないスタンスミスタイプなどが鉄板です。
- ローファー・Uチップ: 革靴なら、紐のないローファーや、少しカジュアルなUチップがビジカジには好相性です。 - バッグ:
リュック通勤が増えていますが、登山用のようなナイロン製のクタクタしたものはNGです。
- スクエア型リュック: 四角いフォルムで、PC収納スペースがあるビジネス専用モデルを選びます。
- レザートート: 肩掛けできる持ち手の長さがあるレザートートは、ジャケパンスタイルを格上げする最強アイテムです。
腕時計やベルトなど細部のこだわり方
「神は細部に宿る」と言われるように、小さな面積のアイテムが洗練さを決定づけます。
- 色合わせの法則:
「靴・ベルト・バッグ」の革の色を揃える(黒なら全て黒、茶なら全て茶)のがセオリーです。これだけで統一感が生まれ、おしゃれに見えます。 - 腕時計:
スマートウォッチ着用者も増えていますが、スポーツバンド(シリコン製)はカジュアルすぎる場合があります。ビジネスシーンでは、レザーバンドやメタルバンドに付け替えるだけで、一気にフォーマル度が増します。 - ソックス:
意外と見られているのが靴下です。座った時にすね毛が見えるのはマナー違反。「ロングホーズ(膝下まである靴下)」を選び、色はパンツか靴の色に合わせるのが正解です。白いスポーツソックスは避けましょう。
まとめ|“清潔感×程よいおしゃれ”が最強のビジカジ
ビジネスカジュアルの目的は、単におしゃれをすることではありません。「相手に信頼され、かつ自分自身が快適に働ける環境を作ること」です。
アーバンリサーチというブランドは、トレンドを追いすぎない「適度な距離感」と、日本のビジネスシーンに馴染む「清潔感」を見事に体現しています。
「何を着ていいかわからない」と迷ったとき、まずは同ブランドのセットアップを一つ取り入れてみる。それだけで、朝の服選びのストレスから解放され、自信を持って仕事に向かうことができるはずです。
服装が変われば、周囲の目も変わり、やがては自分自身の意識や成果も変わっていきます。まずは今週末、近くの店舗やオンラインストアで、自分の働き方に合う一着を探してみてはいかがでしょうか。
【参考・出典】
各ラインのコンセプト・特徴およびアイテム展開については、以下公式サイトの情報を参照(2025年12月確認)
・URBAN RESEARCH Co., Ltd. ブランド一覧:https://www.urban-research.co.jp/
・URBAN RESEARCH ONLINE STORE:https://www.urban-research.jp/