無線LANに関する問題は、ネットワーク分野の中でも高確率で出題されるテーマのひとつです。特に「IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax」といった無線LANの規格は、試験でよく見かける一方で、「どれが何だったか分からない」「ただの暗記はムリ!」と感じる受験者も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな無線LAN規格を 「出題傾向から逆算し、覚えるべきポイントに絞って」 解説します。単なる丸暗記ではなく、「なぜその規格が試験で狙われるのか」「他とどう違うのか」「覚えるにはどんな理屈があるのか」──といった視点を重視します。
さらに、表・図・例え話などを駆使して、無線LANの特徴を“ストーリー”として理解できるように工夫しています。無線LAN問題に「もう振り回されない」ための、筋の通った知識整理と暗記法をお届けします。
目次
- 1 IEEE 802.11規格の出題傾向と頻出キーワード│試験で狙われる「差のある特徴」
- 2 IEEE 802.11の覚え方│「名前・速度・周波数」をセットで押さえる筋の通った暗記法
- 3 「2.4GHz」と「5GHz」の違いを日常で例える│無線LANの周波数帯をイメージで理解
- 4 IEEE 802.11の覚え方を最短化するコツ│“出題される項目”だけを暗記する戦略
- 5 Wi-Fi 6(802.11ax)の強化点│OFDMAとMU-MIMOの出題ポイントを押さえる
- 6 無線LANの試験対策まとめ│規格の比較と出題パターンを復習しよう
- 7 まとめ│無線LAN(IEEE 802.11)を最小の暗記で攻略するポイント
IEEE 802.11規格の出題傾向と頻出キーワード│試験で狙われる「差のある特徴」
無線LAN規格を覚えるうえで大切なのは、「何を覚えるか」よりも「どこが違うか」をつかむことです。試験では各規格の「通信速度」「周波数帯」「互換性」など、他と比べて“差”が出る項目が狙われます。
特に出題されやすいキーワードは以下の通りです。
規格 | 最大速度 | 周波数帯 | 特徴的ポイント |
---|---|---|---|
802.11b | 11Mbps | 2.4GHz | 初期の普及版、速度は遅いが広範囲 |
802.11a | 54Mbps | 5GHz | 高速だが壁に弱い |
802.11g | 54Mbps | 2.4GHz | bと互換あり、速度UP |
802.11n | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz | MIMOによる高速化 |
802.11ac | 最大6.9Gbps | 5GHz | ビームフォーミング対応、高速通信 |
802.11ax(Wi-Fi 6) | 最大9.6Gbps | 2.4GHz/5GHz | 多端末対応(OFDMA等)に優れる |
なぜこれらが狙われる?
→試験では、「nとgの違いは?」「5GHzを使うのはどれ?」など、実務でも影響が出る違いを問う傾向があります。つまり、“比較できるようにしておく”ことこそが得点源になるのです。
IEEE 802.11の覚え方│「名前・速度・周波数」をセットで押さえる筋の通った暗記法
IEEE 802.11の規格は、b・a・g・n・ac・ax…と続きますが、アルファベットと性能には明確な“流れ”があります。
以下のような「3点セット」で覚えると、暗記がグッと楽になります。
① 名前の流れは“後の文字ほど新しい”
- a(旧)→ b → g → n → ac → ax(新)
「bが先に出て、aは同時期だけど周波数が違う」などの例外もありますが、基本はアルファベット順に新しくなると捉えましょう。
② 通信速度も“あとになるほど速くなる”
規格 | 最大通信速度 |
---|---|
b | 11Mbps |
a/g | 54Mbps |
n | 最大600Mbps |
ac | 最大6.9Gbps |
ax | 最大9.6Gbps(理論値) |
③ 周波数は「2.4GHz=広く届く」「5GHz=高速だが壁に弱い」
周波数 | 特徴 |
---|---|
2.4GHz | 電波が遠くまで届く/障害物に強い/電子レンジ等と干渉しやすい |
5GHz | 通信速度が速い/障害物に弱い/干渉は少ない |
このように、「名前の順序」「速度の差」「周波数の特徴」の3つをセットで比較すれば、“無理なく”頭に入る構造が見えてきます。
「2.4GHz」と「5GHz」の違いを日常で例える│無線LANの周波数帯をイメージで理解
無線LANの規格を理解するうえで、「2.4GHz」と「5GHz」の違いは避けて通れません。とはいえ、「周波数が高いと何が変わるの?」と疑問に感じる人も多いでしょう。ここでは、周波数帯の特徴を身近な例えを使って解説します。
✅ 周波数の違いは「道路の種類」で考えよう
- 2.4GHz:田舎道の国道
道幅は狭くスピードは出せないが、どこにでも続いていて、山道や建物の裏にも通れる。
→「遠くまで届く」「障害物に強い」「でも渋滞しやすい」 - 5GHz:都会の高速道路
道幅が広く、スピードが出る。ただし入り口や出口は限られていて、障害物があると通れない。
→「通信速度が速い」「障害物に弱い」「干渉が少ない」
✅ 試験で問われるポイント
試験出題例 | 意図される知識 |
---|---|
802.11nはどちらの周波数帯に対応しているか? | デュアルバンド(2.4GHzと5GHz両対応) |
干渉が起こりやすい周波数帯は? | 2.4GHz(電子レンジやBluetoothと競合) |
速度が最も速い規格はどれか? | ax(5GHz対応、高速だが障害物に弱い) |
このように、周波数帯の違いは「通信距離・速度・干渉の起きやすさ」に関わり、無線LANの実運用に直結する知識として試験でよく問われます。
IEEE 802.11の覚え方を最短化するコツ│“出題される項目”だけを暗記する戦略
無線LANの規格を丸ごと全部覚えるのは非効率です。IPA試験では、必ずと言っていいほど「比較」や「違い」にフォーカスした出題がされます。
つまり、覚えるべきは次の3軸だけです。
✅ 試験に出やすい「3つの比較軸」
比較軸 | 理由 | 出題例 |
---|---|---|
通信速度 | 性能の違いが一目瞭然 | 「最も高速な規格は?」 |
周波数帯 | 接続の安定性と干渉性に影響 | 「干渉が起きやすい規格は?」 |
対応規格(互換性) | 古い端末との接続可否に影響 | 「bと互換のある規格は?」 |
✅ 「最短で覚える」ための優先度表
優先度 | 覚えるべき規格 | 覚え方のコツ |
---|---|---|
★★★ | b/n/ac/ax | 出題率が高い/性能や周波数に違いあり |
★★ | g/a | gはbと互換、aは5GHz限定という例外性 |
★ | その他(歴史的に古い) | 出題される頻度は低く、深追い不要 |
試験に出ない情報は削る。出る部分だけに集中する──それが、暗記を最短化する最大のコツです。
Wi-Fi 6(802.11ax)の強化点│OFDMAとMU-MIMOの出題ポイントを押さえる
近年の試験では、最新規格である「Wi-Fi 6(802.11ax)」に関する出題も増えてきました。特に狙われやすいのが、「なぜWi-Fi 6は“多端末でも速い”のか?」という技術的な仕組みです。
✅ OFDMA:1本の道路を“細かく区切って”複数で使える
従来の方式(従来はCSMA/CAベース)では、1つの通信路を1人ずつ順番に使っていました。これでは端末が多いと「順番待ち」が発生します。
Wi-Fi 6では、OFDMA(直交周波数分割多重接続)によって「1本の通信路を細かく分割」して同時に複数端末へ通信できるようになりました。
→ 例えるなら「1車線の道路を3台分に分割して、それぞれ同時に進める」イメージです。
✅ MU-MIMO:複数端末へ同時にデータを飛ばす
「Multiple User MIMO(多端末同時接続)」とは、複数のアンテナを活用して、複数端末に同時に異なるデータを送信する技術です。
従来のMIMOが「1人で複数アンテナを使う」のに対し、MU-MIMOは「複数人へ一斉に対応」する点が強化されています。
✅ 試験対策まとめ:Wi-Fi 6の出題キーワード
用語 | 内容 | 試験での狙われ方 |
---|---|---|
OFDMA | 通信チャネルの細分化で多端末同時通信 | 「Wi-Fi 6で導入された技術は?」 |
MU-MIMO | 複数端末に同時に送信 | 「nとaxの違いとして正しいものは?」 |
無線LANの試験対策まとめ│規格の比較と出題パターンを復習しよう
ここまで学んだ内容をもとに、試験で問われやすい観点を一覧で振り返りましょう。特に「数字の丸暗記」ではなく、「特徴の違い」「比較軸」を押さえることが得点のカギです。
✅ 出題傾向に基づく「鉄板ポイント」
出題される観点 | 解説 |
---|---|
規格の違い(b・g・n・ac・ax) | 通信速度・周波数・互換性で比較する |
周波数帯(2.4GHz/5GHz) | 通信距離・障害物の影響・干渉のしやすさ |
Wi-Fi 6の技術 | OFDMA/MU-MIMO など新技術の理解 |
実務との接点 | 「電子レンジと干渉するのは?」「高速なのはどれ?」など実生活に直結する問題 |
✅ 最後のチェックリスト
- [x] b→g→n→ac→ax の流れを押さえたか?
- [x] 通信速度は「新しいものほど高速」で覚えているか?
- [x] 2.4GHzと5GHzの特徴を、例え話でイメージできるか?
- [x] Wi-Fi 6のキーワード(OFDMA/MU-MIMO)を説明できるか?
- [x] 「違いを問われる形式」での出題に慣れているか?
「どれが速い?」「どれが古い?」「どれが干渉しやすい?」──この3問に答えられれば、IEEE 802.11の問題は怖くありません。
最短で覚えて、確実に点を取るための“比較思考”を、今日から武器にしてください。
まとめ│無線LAN(IEEE 802.11)を最小の暗記で攻略するポイント
IEEE 802.11に関する出題は、「全て覚えろ」ではなく「違いを比較して理解せよ」という意図に基づいています。
そのため、出題される観点に集中して覚えることが最も効率的です。
✅ 最小限で押さえるべき要点
- 名前の流れ:b→g→n→ac→ax
- 速度の変化:「あとになるほど速くなる」
- 周波数の違い:2.4GHz=届きやすい/5GHz=速いけど壁に弱い
- 新技術:Wi-Fi 6では OFDMA・MU-MIMO が導入された
試験対策としては、「特徴を比較する設問」に備えた知識整理が最も重要です。
「どれが速い?」「どれが古い?」「どれが干渉に強い?」──この3軸で答えられれば、IEEE 802.11問題は安心して臨めます。