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【2026年度から】応用情報・高度試験のCBT化とは?変更点と今すぐ始めるべき対策を徹底解説

2026年度から、IPAの応用情報技術者試験や高度試験がガラッと変わるって知ってましたか? これまで当たり前だった紙と鉛筆の筆記試験が、パソコン上で問題を解く「CBT方式」に大きく切り替わるんです。

長年続いてきた試験スタイルが変わるわけですから、これはかなりのビッグニュースですよね。「え、記述問題はどうなるの?」「パソコン操作が苦手だと不利になる…?」「そもそも過去問ってまだ使えるの?」なんて、気になることや不安なことで頭がいっぱいになっている方も多いのではないでしょうか。

でも、大丈夫です!この記事では、そんな応用情報・高度試験のCBT化について、受験者が本当に知りたいポイントを徹底的に解説します。CBT方式の基本から、気になるメリット・デメリット、そして「じゃあ、どう対策すればいいの?」という具体的な攻略法まで、一緒に確認していきましょう。この変化の波を乗りこなして、合格をしっかり掴むための準備を、今から始めませんか?

目次

応用情報・高度試験のCBT化とは?│2026年度からの変更点

そもそも「CBT」って何?というところからおさらいしましょう。CBTとは「Computer Based Testing」の略で、その名の通り、問題用紙やマークシートの代わりにパソコンを使って解答する試験方式のことです。これまでの決められた試験日に大きな会場へ集まる形式とは違い、全国各地にある「テストセンター」で、指定された期間内から自分の都合の良い日時を選んで受験するのが一般的になります。

これまでの筆記方式との一番の違いは、やはり「すべてがパソコン上で完結する」という点です。問題の表示、選択肢のクリック、そして(もし出題されれば)文字列の入力まで、すべてを画面上で行います。応用情報や高度試験ではおなじみだった、午後の長文問題を冊子でめくりながらマーカーを引いたり、解答用紙のマス目を気にしながら記述したり…といった光景が過去のものになるわけですね。

このCBT化が適用されるのは、以下の試験です。

  • 応用情報技術者試験(AP)
  • ITストラテジスト試験(ST)
  • システムアーキテクト試験(SA)
  • プロジェクトマネージャ試験(PM)
  • ネットワークスペシャリスト試験(NW)
  • データベーススペシャリスト試験(DB)
  • エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
  • ITサービスマネージャ試験(SM)
  • システム監査技術者試験(AU)

つまり、基本情報技術者試験(FE)や情報セキュリティマネジメント試験(SG)のように、応用情報とすべての高度試験がCBTへ移行します。

そして、スケジュール面も大きく変わります。これまでは年2回(春・秋)の実施でしたが、CBT化に伴い、試験の実施回数が年複数回になることが予定されています。これにより、「一度不合格になると、次のチャンスは半年後…」という状況がなくなり、自分の学習計画に合わせて柔軟に受験スケジュールを組めるようになるのは、大きな変更点と言えるでしょう。

CBT化によるメリット│受験機会の増加と学習効率アップ

新しい試験方式と聞くと、つい身構えてしまいますよね。でも安心してください。CBT化は、私たち受験者にとって嬉しいメリットもたくさんあるんです。具体的にどんな良いことがあるのか、一つずつ見ていきましょう。

メリット①:いつでも挑戦!受験機会と場所の柔軟性がアップ

最大のメリットは、なんといっても受験機会が大幅に増えることでしょう。これまでは春と秋の年2回しかチャンスがなく、一度不合格になると次の試験まで半年も待つ必要がありました。CBT化によってこれが年複数回になれば、「苦手分野を克服して、2ヶ月後にもう一度チャレンジ!」といった短期集中型の学習プランも可能になります。また、全国のテストセンターから自宅や職場の近くを選べるようになるため、遠征の必要がなくなるのも嬉しいポイントです。

メリット②:さよなら、マークミス!解答がシンプルで確実

筆記試験で誰もが一度はヒヤリとするのが、マークシートの解答欄が一つずれていた…という悪夢のようなミス。CBT方式では、問題ごとに選択肢をクリックして解答するため、こうしたケアレスミスが原理的に起こりません。解答の修正も、もう一度クリックするだけなので簡単・確実です。読みづらい文字で減点されるかも…といった、記述式ならではの悩みから解放されるのも精神的に楽になりますね。

メリット③:残り時間を常に意識!時間配分が楽になる

CBT試験では、一般的にパソコンの画面上に残り時間が常に表示されます。試験中に何度も腕時計を確認したり、「残り時間、あとどれくらいだっけ?」と焦ったりする必要がありません。常に時間を意識しながら問題を解き進められるため、特に長丁場となる応用情報や高度試験の午後問題において、時間配分の戦略が立てやすくなるでしょう。

メリット④:デジタル世代に追い風?PC画面での学習に慣れていれば有利

普段から仕事やプライベートでパソコンを使いこなし、Web上のドキュメントや電子書籍を読むことに慣れている人にとっては、紙の問題冊子よりもPC画面の方が情報処理しやすい、というケースも少なくありません。画面上で長文を読むことに抵抗がなければ、CBT化は大きなアドバンテージになる可能性を秘めています。

どうでしょう?こうして見ると、CBT化は上手に付き合えば合格への強力な武器になりそうですよね。

CBT化のデメリット│記述式との違いと新たな課題

良いことばかりに見えるCBT化ですが、もちろん注意すべき点や、人によっては「これは困る…」と感じるかもしれないデメリットも存在します。変化に乗り遅れないためにも、今のうちからしっかり課題を把握しておきましょう。

デメリット①:メモが取れない!思考の整理がしにくい

筆記試験では、問題用紙の余白に図や表を書き込んだり、関係性を矢印で結んだりしながら、頭の中を整理して解答を導き出すことができました。しかしCBT方式では、基本的に画面上で問題を読み、そのまま解答操作を行うことになります。会場によってはメモ用紙が配布される場合もありますが、自由に書き込みながら思考を深める、という伝統的なスタイルが使いにくくなる可能性は高いでしょう。複雑な問題ほど、この制約が思考の妨げになるかもしれません。

デメリット②:タイピングが苦手だと不利になる可能性

現状、応用情報や高度試験の午後問題がどのような形式になるかは不明確です。しかし、もしキーボードによる文字入力が必要な問題が出題された場合、タイピングの速度や正確さが解答時間に直結します。ブラインドタッチが苦手な人や、そもそもキーボード操作に慣れていない人にとっては、知識とは別の部分でハンデを負ってしまうリスクが考えられます。

デメリット③:画面スクロールの手間と全体像の把握しにくさ

高度試験の午後問題のように、複数のページにわたる長文問題の場合、紙の冊子であればパラパラとめくって全体像を素早く把握したり、関連する箇所を簡単に見比べたりできました。CBT方式では、これをマウスのスクロールやクリック操作で行うことになります。特に、「設問で問われている箇所は、問題文のどの部分だっけ?」と行き来する際に、紙媒体よりもわずらわしさを感じたり、全体像を見失いやすくなったりする可能性があります。

デメリット④:「なぜそう考えたか」を示す論述力が評価されにくい?

これは試験の評価軸に関わる話ですが、記述式・論述式の問題は、単なる正解だけでなく「解答に至るまでの思考プロセス」や「論理的な説明能力」を評価する側面がありました。CBT化によって選択式問題が中心になると、こうした深い思考力や表現力を測る機会が減ってしまうのではないか、という懸念もあります。受験者としては対策しやすくなる反面、資格が持つ本来の価値に影響を与える可能性もゼロではありません。

問題傾向の変化予想│CBT方式で出題はどう変わる?

メリット・デメリットをふまえた上で、受験者が一番知りたいのは、やはり「で、結局のところ問題の中身はどう変わるの?」という点ですよね。まだIPAからの正式なサンプル問題は公開されていませんが(2025年8月現在)、先行してCBT化した他の試験の例から、応用情報・高度試験の出題傾向の変化を予想してみましょう。

変化予想①:記述・論述から「選択・穴埋め形式」がメインに

最も大きな変化は、午後試験における長文の記述・論述問題がなくなる、あるいは大幅に減少する可能性が高いことです。手書きでの解答がなくなるため、「〜について40字以内で述べよ」といった問題は、以下のようなCBTで採点しやすい形式に置き換わることが考えられます。

  • 多肢選択問題:複数の選択肢から、正しい(あるいは誤っている)ものを「すべて」選ばせる。
  • 組み合わせ問題:左側の項目と、右側の適切な説明を線で結ばせる(ドラッグ&ドロップ操作)。
  • 穴埋め問題:文章中の空欄をクリックすると表示されるプルダウンメニューから、最も適切な語句を選ぶ。

これにより、解答の客観性は高まりますが、部分点狙いの記述がしにくくなるという側面もあります。

変化予想②:SQLや図表問題はもっとインタラクティブになる?

データベーススペシャリスト試験のSQL作成問題や、システムアーキテクト試験の図を使った問題なども、形式が変わる可能性があります。例えば、単純なテキスト入力だけでなく、

  • コードの補完:プログラムコードの一部が空欄になっており、選択肢から正しい命令を選ぶ。
  • 図の操作:ネットワーク構成図の機器をドラッグ&ドロップで正しい位置に配置する。

といった、より実践的でインタラクティブ(双方向)な操作を求める問題が登場するかもしれません。

変化予想③:CBTならではの「ランダム出題」や「画面切替」

基本情報技術者試験のCBT方式では、受験者ごとに出題される問題や選択肢の順番がランダム化されています。応用情報・高度試験でも同様の仕組みが導入されれば、隣の人の画面をチラ見する、といったことは不可能になります。 また、長文問題と設問が別画面で表示され、ボタンクリックで行き来する形式も考えられます。この場合、問題の全体像を把握しにくくなるため、慣れが必要になりそうです。

変化予想④:「過去問」との付き合い方が変わる

CBT化後の最も重要なポイントです。出題形式が変わっても、問われる知識の根幹(シラバスの範囲)が大きく変わるわけではありません。そのため、知識をインプットする上で過去問が重要であることに変わりはないでしょう。 ただし、アウトプットの練習方法は変える必要があります。紙に書き出す練習から、パソコン上で問題を解き、選択肢を素早く正確に選ぶ訓練へとシフトすることが求められます。また、CBT試験では問題が非公開になる傾向があるため、数年後には「最新の過去問」という概念がなくなる可能性も頭に入れておくべきです。

CBT方式と記述式の比較表│どちらが難しい?学習スタイルの違い

ここまでCBT化のメリット・デメリットや変化の予想を見てきましたが、結局のところ、これまでの筆記・記述式と比べてどちらが難しいのでしょうか?これは個人の得意・不得意によって意見が分かれるところです。

そこで、両者の違いを改めて表に整理し、求められる学習スタイルがどう変わるのかを比較してみましょう。

比較項目 CBT方式 従来の筆記・記述式
解答方法 マウス操作(クリック、ドラッグ&ドロップ)、キーボード入力 手書き(マークシート、文字・図の記述)
主な出題形式 選択式、穴埋め式、組み合わせ式が中心 選択式に加え、数十〜数百字の論述・記述式が必須
思考プロセス 瞬時に正解・不正解を判断する力、知識の正確性が重要 問いの意図を汲み取り、論理的に説明・構成する力が重要
採点方式 自動採点が中心で、客観的かつスピーディ 人による採点が中心で、部分点や解釈の余地がある
時間配分 画面上のタイマーで管理しやすいが、スクロール等の操作時間も考慮 問題冊子全体を見渡しやすく、物理的なページめくりが発生
対策スタイル 多くの問題に触れ、選択肢を見抜く瞬発力を鍛える 1つのテーマを深く掘り下げ、自分の言葉で説明する練習
復習のしやすさ 問題が非公開の場合、自分の解答を見直せない可能性がある 自分の解答や書き込みが手元に残り、思考の過程を振り返りやすい
難易度の感じ方 ○知識はあるが文章にするのが苦手な人
△思考を書き出さないと整理できない人
○自分の言葉で論理的に説明するのが得意な人
△ケアレスミスや漢字・用語の度忘れが多い人

この表を見ると、CBT化は「知識の正確性」や「情報処理のスピード」がより重視されるようになる一方で、記述式で求められた「思考のプロセスを言語化する能力」の重要度は相対的に下がると言えそうです。

どちらが良い・悪いということではなく、試験で評価される能力の軸足が少し変わると捉えるのが良いでしょう。自分の得意なスタイルに合わせて、意識的に学習方法を調整していく必要がありそうですね。

CBT試験対策でやるべきこと│応用情報・高度試験の攻略法

さて、ここまでの情報を総まとめです。新しいCBT方式を乗りこなし、応用情報・高度試験の合格を掴むために、私たちが「今すぐ始めるべき対策」を4つの攻略法に絞って具体的に解説します。早めに行動を起こした人が有利になるのは間違いありません。

攻略法①:演習はすべてPC上で!「CBT脳」を鍛える

まず、最も重要な心構えの転換です。「紙の問題集や参考書を解いて終わり」という学習スタイルから卒業しましょう。これからの演習は、すべてパソコン上で行うことを基本にしてください。

  • CBT体験システムを活用する:IPAが基本情報技術者試験向けに提供している「CBT体験ソフトウェア」や、民間の資格スクールが出しているCBT模試などを活用し、実際の操作感に慣れておきましょう。
  • 過去問もPC画面で解く:過去問のPDFなどを画面に表示し、解答はメモ帳などのテキストエディタに書き出す練習をするだけでも効果的です。

目標は、紙ではなくPCの画面で長時間集中力を維持し、情報を正確に読み取る「CBT脳」を作り上げることです。

攻略法②:「操作時間」込みで時間配分をシミュレーションする

CBT試験では、問題を解く時間だけでなく、マウスのスクロールや画面の切り替えといった「操作時間」が意外と積み重なります。この時間を考慮せずにいると、本番で「時間が足りない!」と焦ることになりかねません。 PC上で過去問を解く際には、必ず本番と同じ試験時間でストップウォッチを使い、時間内に全問解き終わるか、見直し時間は確保できるかを厳しくチェックしましょう。特に長文読解が求められる午後試験では、このシミュレーションが合否を分けます。

攻略法③:論述がなくても「説明できるレベル」の深い理解を目指す

「記述問題がなくなるなら、暗記が楽になる」と考えるのは少し危険です。なぜなら、CBT化によって「なんとなく知っている」という曖昧な知識では正解できない、シビアな選択問題が増える可能性があるからです。 これからの学習で目指すべきは、「自分の言葉で、誰かにその技術や概念を口頭で説明できるレベル」の深い知識です。書く練習の代わりに、頭の中で知識を体系的に整理し、用語同士の関連性を明確に理解する訓練が、選択肢に惑わされないための最強の武器となります。

攻略法④:PCが苦手な人は「タイピング」と「マウス操作」に慣れておく

もしあなたがパソコン操作に苦手意識を持っているなら、少しずつで良いので慣れておくことを強く推奨します。

  • タイピング練習:無料のタイピング練習サイトなどを活用し、キーボードを見なくてもある程度スムーズに入力できるように練習しておきましょう。思考を止めずに文字を打てるようになれば、大きなアドバンテージになります。
  • マウス操作:ドラッグ&ドロップや、細かい選択肢を正確にクリックする練習も効果的です。

これらは一朝一夕には身につきません。日々の学習の中に、少しずつPC操作のトレーニングを取り入れていきましょう。

まとめ│CBT化はチャンスにもリスクにもなる

今回は、2026年度から始まる応用情報技術者試験・高度試験のCBT化について、その変更点からメリット・デメリット、そして具体的な対策までを詳しく解説してきました。

この変化は、受験者にとって大きなチャンスにも、あるいはリスクにもなり得ます。受験機会が増えるというメリットを最大限に活かし、CBT方式の特性を理解して戦略的に学習を進めることができれば、合格は大きく近づくでしょう。

重要なのは、形式が変わっても、試験で問われる「本質的なIT知識や思考力」は変わらないということです。記述問題がなくなるからといって思考を浅くするのではなく、むしろ「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるレベルまで理解を深める習慣を、これまで以上に意識する必要があります。

変化の波は、常に早く準備を始めた者に味方します。ぜひ本記事を参考に、今日からCBT化を意識した学習へとシフトし、万全の態勢で2026年度からの新試験に臨んでください。

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